第一三共は6月11日、藤堂具紀東大医科学研究所教授と共同で開発したがん治療用ウイルスG47Δ(デルタ)製品「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)について、国内での製造販売承認を同日付で取得したと発表した。「悪性神経膠腫」の治療を目的とした再生医療等製品として条件・期限付きで承認された。

■東大医科研・藤堂教授らが創製

 がん治療用ウイルスG47Δは、藤堂教授らにより創製された、単純ヘルペスウイルスⅠ型の3つの遺伝子を組み換えたウイルス。正常細胞では増えず、がん細胞でのみ増殖可能となるよう設計されている。

 承認申請は、藤堂教授が実施した膠芽腫患者を対象とした国内第2相臨床試験(医師主導治験)の結果に基づいて行われた。承認取得により「デリタクト注」は、悪性神経膠腫の治療を目的として世界で初めて承認されたがん治療用ウイルスとなる。

 承認に当たり設定された条件は、「緊急時に十分対応できる医療施設」で「悪性神経膠腫の治療と脳神経外科手術手技に十分な知識・経験を持つ医師」が「適切な対応がなされる体制下」で使用する、など。承認の期限は7年とされている。

■あらゆる固形がん治療の選択肢となる可能性

 悪性神経膠腫は、神経細胞の支持組織であるグリア細胞から発生する原発性脳腫瘍の神経膠腫のうち、grade IIIと grade IVの悪性度が高いものを指し、国内の罹患数は年間約2800人程度と推定されている。

 藤堂教授はこれまで本誌の取材に対し、G47Δでがん細胞を破壊するウイルス療法は「動物実験では、頭頸部がん、食道がん、悪性黒色腫、乳がん、肺がん、腎がん、肝がん、膵がんなど、あらゆる固形がんへの有効性が認められている」とし、ウイルス療法は、手術、放射線療法、化学療法と並んで固形がんの治療の選択肢の1つに位置づけられる可能性があると指摘しており、今後適応拡大を期待する声が高まることが予想される。

【「デリタクト注」の効能・効果/用法・用量】

効能・効果

 悪性神経膠腫

用法・用量

 1回あたり1mLを腫瘍内に投与。原則として1回目と2回目は5〜14日の間隔、3回目以降は前回投与から4週間の間隔で投与。投与は6回まで