関西ジャニーズJr.内のグループ「Boys be」で活動する池川侑希弥が初主演する青春映画です。『雑魚どもよ、大志を抱け!』が3月24日(金)から全国で順次公開されます。
物語の舞台は1988年、地方の町。主人公は小学6年の男子・高崎瞬。
瞬は父・母・妹と4人家族で地方の町に暮らす、平凡な小学生です。瞬は勉強ぎらいで成績が良くありませんが、仲のいい友だちグループと時間を過ごすのが大好きです。
一番仲のいい親友は、隆三です。隆三は、みんなより少し体が大きくてケンカに強く、頼りになる存在です。トカゲは気弱な性格で言葉が滑らかに出てこない吃音を抱えています。正太郎は知識が豊富で東大進学を目指しています。
瞬はきょうも、隆三・トカゲ・正太郎と自転車に乗って遊びに出かけました。おさい銭の小銭から100円玉を勝手に持ち出して、駄菓子屋へ。店主のおばあちゃんが電話しているすきに万引きをしたり、学校で飼育しているオオサンショウウオを捕獲して校庭に置き去りにしたり。
町のはずれにある廃線跡に、子どもたちが「地獄トンネル」と呼んでいる場所があり、トンネルの向こう側まで走り抜けると願いが叶うと言われています。立ち入り禁止になっていて、この日も入口の手前まで4人で行きました。先生に叱られるようなことばかりですが、気の合う仲間と一緒にするのが楽しくてたまりませんでした。
遊んでばかりいる瞬のひどい成績を母親が心配し、瞬は無理やり学習塾に入れられてしまいます。塾の初日。同じ塾に、クラスメートの西野がいました。
西野「高崎くん?」
瞬「西野? 何してんだお前、こんなとこで」
西野「僕、ここの塾に通ってるから」
瞬「マジかよ」
西野「うん、3年生の頃から。高崎くんは?」
瞬「あー、俺は、今日から」
西野「あ、じゃあ多分あそこの席だよ。一番前の席」
瞬は、塾のあと西野と一緒に帰るようになり、ともに映画好きという共通点が見つかりました。ある日、西野の自宅へ行くことになり、瞬と隆造とで家を訪ねました。西野はどでかい豪邸に住んでいて、自分の部屋には映画の作品を収めたVHSのビデオテープが大量にありました。西野はスピルバーグに憧れて、映画監督になるのを目指していました。これを聞いた隆造は、みんなで映画を撮ろうと提案します。
学校で、隆三は6年1組で、瞬とトカゲと西野は2組でした。隆造はトカゲに「お前、明にいじめられそうになったら瞬に守ってもらえよ」とアドバイスします。案の定、いじめっ子の明がトカゲにちょっかいを出し始めましたが、瞬はビビって見て見ぬふりをしてしまいます。
瞬たちはそれぞれ個別に家庭の事情を抱えていました。瞬の母親は乳がんを患っていました。隆三の両親は別居していて、父親は前科のあるヤクザです。トカゲは、母親が新興宗教にハマっている宗教2世です。正太郎は、母子家庭で姉がヤンキーです。
こうした中、瞬とトカゲは、西野が明にカツアゲされているのを目撃します。明は政ちゃんというツッパリ中学生にお金を渡すために、西野を脅していました。でも小心者の瞬は何もできません。
臆病で弱虫な瞬の正体がみんなに知られて仲間たちとの関係がぎくしゃくし、母親の乳がんが再発して、瞬は苦しい日々を送ります……。
今作の監督を務めたのは『百円の恋』や『嘘八百』シリーズの脚本家として知られる足立紳。原作は足立監督が書いた小説『弱虫日記』です。
足立監督は今作の原型となる脚本を20年以上前に書いていて、師匠の相米慎二監督から褒められたそうです。ところが映画化はなかなか実現せず、この脚本を小説として書き直して2019年に出版されました。
主人公の瞬を演じるのは、関西ジャニーズJr.内のグループ「Boys be」で活動する池川侑希弥です。強くて明るい瞬の母親が臼田あさ美、ちょっと頼りない父親は浜野謙太、瞬の親友・隆造の前科持ちの父親が永瀬正敏です。
メインキャストは小学6年の少年を演じる俳優たちで、全員オーディションで選ばれました。小学5年生から中学2年生の7人です。瞬役の池川のほか、人情に厚いリーダー格の隆造は田代輝、トカゲこと戸梶役は白石葵一、正太郎は松藤史恩、西野が岩田奏です。イジメっ子の明が蒼井旬、転校生の小林が坂元愛登です。
彼らは撮影前の2か月間、経験不足を補いチームワークを深めようと、毎週会議室に集まって稽古を重ねたそうです。最初は緊張気味だったということですが、メンバーで台本読みやリハーサルを繰り返していくうちに打ち解けて、冗談を言い合える仲になりました。
瞬役の池川は映画初出演で演技をしたことがほとんどありませんでしたが、親友役の田代ら経験豊富なメンバーの影響もあって徐々に声が出るようになっていきました。
撮影は2022年3月に岐阜県飛騨市で行われました。少年役のキャストたちは、市街地から車で30分ほど離れた山の中で合宿生活をしていたそうです。皆で大浴場に入ったり布団を並べて寝たりする生活でコミュニケーションが深まり、一体感が増していきました。
主演の池川は、臆病な瞬が経験を重ねて成長する物語について「どこか自分にもそういう所があるなと思いながら撮影していました」と明かし、主人公の瞬を演じることで自分自身も成長できたと思っています」と語っています。
今作は、池川が等身大のキャラクターとして弱虫の瞬を自然に表現する姿が、足立監督の長回し撮影でスクリーンにいきいきと広がっています。
3月7日に大阪で行われた先行上映会の舞台挨拶で足立監督は、池川について「オーディションで、ぐいぐい前に出て来ず、性格が良い子なんだろうな」という印象を受けたと話しました。また「撮影に入ると、どんどん変化して格好良くなってきた。飲み込みが早い子で、とても楽しかったです」と称えています。さらに「撮影中も私の話を一生懸命聞こうとする、その姿勢が素直で感動しました! その素直な感じで突き進むと、将来すごい俳優さんになると思います」と池川に太鼓判を押しました。
主題歌「少年」をZ世代のバンド・インナージャーニーが書き下ろし、思春期の少年たちを勇気づけます。
自我に目覚める頃、自分自身と葛藤しながら仲間とともに目の前の壁を乗り越えようともがく、ほろ苦い青春映画です。『雑魚どもよ、大志を抱け!』は、3月24日(金)公開。(SJ)
◇映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
キャスト:
池川侑希弥(Boys be/関西ジャニーズ Jr.) 田代輝 白石葵一 松藤史恩 岩田奏 蒼井旬 坂元愛登
臼田あさ美 浜野謙太 新津ちせ 河井青葉 / 永瀬正敏
原作:足立紳『弱虫日記』(講談社文庫)
監督:足立紳
脚本:松本稔 / 足立紳
音楽:海田庄吾
主題歌:インナージャーニー「少年」(鶴見 river records)
配給:東映ビデオ
(C)2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会