一戸建て中古住宅の間取りをめぐるミステリー。映画『変な家』が全国東宝系で公開中です。

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 主人公は“雨男”という名前で活動する、オカルト専門の動画クリエイター・雨宮です。雨宮はマネージャーから引越しする予定の家について相談を受けました。

 マネージャー「家探してるんだけど。見てこれ。理想的な物件じゃない?ただ嫁がね、間取りが気になるっていうのよね」
 雨宮「間取り?」
 マネージャー「見てここ。台所とリビングの間に変な空間があるんだよ」
 雨宮「何ですかこれ」

 一戸建ての中古住宅。間取りが変だ、とマネージャーの妻は指摘しているそうです。雨宮は、この謎の空間をミステリー好きの設計士・栗原に見てもらい、意見を聞きました。

 雨宮「これなんですけど」
 栗原「私なら、絶対に買いません」
 雨宮「えっ?」

 栗原は、謎の空間が本来必要のない壁でわざわざ作られていることや、子ども部屋は窓がなく二重扉で専用のトイレがあることなど奇妙な違和感があると言いました。

 こうした中、その変な家の近くにある雑木林で身元不明のバラバラ遺体が見つかる事件が起きます。雨宮はこの事件と家との関連性を疑い、一連の疑惑として動画にまとめ、投稿しました。

 すると動画を見たという女性・柚希から、変な家に心当たりがあると雨宮にメッセージが届き、雨宮は会うことにします。

 柚希「私の主人が、あの家の住人に殺されたかもしれないんです」
 雨宮「えぇっ?」

 柚希は、あの家とは別の場所にある変な家の間取り図を雨宮に見せました……。

 原作は、本名も素顔も地声も非公開の覆面作家でYouTuberの雨穴(うけつ)です。始めに発表したのは、ウェブメディア『オモコロ』でノンフィクションのレポート風に物語を載せた記事『【不動産ミステリー】変な家』でした。その後、YouTubeに動画として公開し、現在まで1950万回も再生されています。動画は白い仮面をかぶった謎の人物・雨穴が、家を買うことに決めた知人から「間取りに不可解な点がある」と相談を受ける場面で始まる、22分ほどの作品です。

 YouTubeが人気となり、動画を元に書いた小説『変な家』が発売され、小説『変な家2』『変な家文庫版』を含むシリーズ累計発行部数は160万部を突破しました。

 今作はこれを映画化したもので、監督を『ミックス。』やドラマ『リーガルハイ』シリーズで知られる石川淳一が手がけています。

 キャストは、動画クリエイター雨宮を間宮祥太朗が演じます。雨宮が頼りにする設計士・栗原役が佐藤二朗です。ヒロインの柚希は川栄李奈、雨宮のマネージャーがCreepyNutsのDJ松永。ほかに瀧本美織・根岸季衣・髙嶋政伸・斉藤由貴・石坂浩二らが顔を揃えます。

 主題歌は、アイナ・ジ・エンドが書き下ろした『Frail』です。

 オカルト専門の売れない動画クリエイターと、冷静沈着だけれどちょっと変わった妄想家の設計士がともに謎を解き明かすミステリーで、凸凹コンビのバディムービーとして楽しめます。ホラー映画ではありませんので“ホラーNG”の人でも観られます。

 原作者の雨穴は、『変な家』は原作と映画がお互い補完関係にあるとして「まず小説を三章まで読んでから映画館に行き、大迫力のスクリーンで結末を見る……というのが最も理想的な見方ではないでしょうか」と勧めています。映画『変な家』は現在公開中です。(SJ)