シンガーソングライターの川嶋あいがパーソナリティーを務めるラジオ番組『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』(ラジオ関西、毎月第1・2週日曜午後5時〜)。4月14日の放送では、声優・日高のりこさん(※「高」=はしごだか)がゲスト出演。声優としての活動を振り返るほか、自身の経験について語った。

 10歳のときに児童劇団養成所に入所し、子役としての活動を開始。1977年にNHKで放映されたドラマに初出演したのち、アイドルとしてデビュー。当時、ラジオ番組に寄せられたリスナーの声をきっかけに、テレビアニメ『超時空騎団サザンクロス』(TBS系列)のムジカ・ノヴァ役で声優デビューを果たした。代表作に、『タッチ』のヒロイン・浅倉南役や、ジブリ映画『となりのトトロ』の草壁サツキ役などがある。

 今年で声優デビュー40周年を迎える日高。自身にとって初の男の子役となったのが、テレビアニメシリーズ『世界名作劇場』で放映された「ピーターパンの冒険」のピーターパン役だった。児童劇団で男の子役を演じた経験があったことから舞台での発生法をアフレコにいかしたところ、常に腹筋に力を入れて話すというスタイルに。当時は「男の子役ってものすごく体力を使うんだなあ」と感じていたそうで、苦労と試行錯誤の日々であったことを明かした。

 声優という職業に巡りあうまで、児童劇団やアイドル、タレンドなど、さまざまなジャンルで活動してきた日高。当時は、「自分は向いていないんじゃないか」という悩みを常に抱いていたという。「自分には何ができるのだろう」と自問自答する日々のなか、その思いが特に強くあらわれたのが、阪神・淡路大震災が発生したときのことだった。

 当時、東京・原宿のスタジオから、関西のラジオ局の深夜番組を担当していた日高。地震発生から間もないタイミングで、2時間の生放送を行うことになったが、「いつも通りにできるわけない」「しかも自分は東京にいるわけで、どれだけ(現地の)皆さんを思おうと実際に地震を経験したわけではない」と葛藤。「(地震を)体験していない自分が、いま大変な思いをしている皆さんにどうやって言葉を届けることができるのか」と悩んだ結果、勇気づけられる音楽とともに自身の思いを届けた。

 リスナーを励ますつもりで声を届けた日高だったが、リスナーからは「いつもの日高さんの明るいおしゃべりで元気をもらいたい」という声が寄せられたそうで、「自分の考えが及ばなかった」とひと言。以降は、リスナーとお互いに励まし合いながら少しずつ日常を取り戻していくように。「どこまでやったら正解なのかが見えなくて」「あのときほど自分の進むべき道がわからないと思ったことはない」と、当時の心境を吐露した。

 現在、悩みを抱えている人に向けて、このようにメッセージを送った。

「いろいろなことがあって自分の心が傷ついてしまったときに、一時的に避難することも大切だと思っている。安定した状態で過ごすことのできる場所で自分自身の心が癒されて元気を取り戻して、『また踏み出そう』と思ったときに立ち向かっていけばいい。心の元気を取り戻せるような場所を見つけて、優しさをくれる人、共感してくれる人、『会うとホッとする』と思える人とだけ会って栄養をたくさんもらって、自分自身を健康にするということを考えてもらいたい」(日高)

※ラジオ関西『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』2024年4月14日放送回より