姫路を拠点に活動し、日本の戦後美術を語る上で重要な前衛画家のひとり小野田實の回顧展「私のマル 小野田實展」が、姫路市立美術館で開催されている。6月20日(日)まで。

 小野田實は1937年満州で生まれ、終戦の前年に姫路に移り住み、2008年に生涯を閉じるまで姫路を拠点に制作を続けた。1965年から1972年には「具体美術協会」に姫路からただ一人参加し存在感を示した。近年小野田の作品はイギリスのテートモダンなど海外の美術館も収蔵されるなど注目されており、日本国内でのまとまった展示は最初で最後かもしれないという。

 回顧展では小野田が高校生の頃から亡くなる直前までの作品や資料240展を展示する。ドットのような小さいものから大きなものまで「マル」をモチーフに様々な作品を描いた。その作風はほぼ10年ごとに変化しており、会場でもその変化を見て取ることができる。

《作品 64-Ⅴ》1964年 兵庫県立美術館蔵 ©2021 ONODA Minoru
《作品 64-Ⅴ》1964年 兵庫県立美術館蔵 ©2021 ONODA Minoru
《WORK 79-Blue47》1979年 個人蔵©2021 ONODA Minoru
《WORK 79-Blue47》1979年 個人蔵 ©2021 ONODA Minoru

 展示されている60年代の作品は、等高線のように線を描き、谷は細く山は太くしたり、間隔を調整するなどして半分立体となっている。70年代になると同心円のような作風になり、80年代には不定形の板に丸い穴を開け、2000年代にはまた違う表現に変化している。

《WORK 85-W》1985年 個人蔵 ©2021 ONODA Minoru
《WORK 85-W》1985年 個人蔵 ©2021 ONODA Minoru

「マルを使ってどれだけいろんなことをやっているのか、マルを追求することでここまで表現することができる。小野田自身はその意識はなかったかもしれないがその時代を思い浮かべると背景が見えてくる。例えば60年代の作品の大量のマルは、当時の大量消費社会を表現していたのではないか」と姫路市立美術館の高瀬晴之学芸員は分析する。

 また、コレクションギャラリーでは「具体美術協会の作家たち」を開催。吉原治良や白髪一雄の作品を紹介する。