新緑が鮮やかな季節となりました。5月です。ところでよく「五月晴」と言いますが、本当の意味をご存じですか? ラジオ関西アナウンサー・林真一郎が紹介します。

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 広辞苑によりますと、

(1)「さみだれの晴れ間。梅雨の晴れ間」、(2)「五月の空の晴れわたること。また、晴れわたった空」と、あります。この「さみだれ(五月雨)」とは、「陰暦五月頃に降る長雨。また、その時期。つゆ。梅雨。さつきあめ」(出典:広辞苑)のことです。

 ここからもわかるように「五月晴」の本来の意味は、梅雨の合間にみられる晴れ間のことなのです。この言葉が使われ始めた頃の日本では、旧暦(太陰太陽暦)を使用していましたが、1873(明治6)年に今の新暦(太陽暦)に変わりました。今年(2021年)の旧暦5月は、6月10日から7月9日にあたります。つまり、暦が変わったため、本来は5月だったのものが、違う月にもかかわらず、呼び方だけが残り、今では五月(さつき)だから、5月の言葉として使われているようです。

「五月雨をあつめて早し最上川」という松尾芭蕉の「奥の細道」の句もありますが、これも今の季節なら6月頃、つまり梅雨の長雨が最上川に注いでたくさんの水が勢いよく流れている、と頭に浮かべれば「なるほど」と実感していただけるのではないでしょうか。

 ちなみに、「さつきばれ」という言葉以外に、「ごがつばれ」という表現もあります。

 言葉は時代とともに、その意味も使い方も変化します。「ことばコトバ」では、そんな言葉の楽しさを紹介していきます。

(「ことばコトバ」第1回 ラジオ関西アナウンサー・林真一郎)