フリーアナウンサー・田中大貴(元フジテレビアナウンサー)と林歳彦氏がパーソナリティーを務めるラジオ番組『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』(ラジオ関西)。その6月7日放送回では、華麗な背負い投げを武器に、アトランタ、シドニー、アテネのオリンピック3連覇を果たした柔道家・野村忠宏さんがゲスト出演。これまでの足跡を振り返るとともに、後輩たちが出場する東京五輪への思いも語った。

柔道家・野村忠宏さん(写真:ラジオ関西)

 柔道一家に生まれ、3歳から柔道を始めた野村さん。中学生の頃に女子に負け、名門・天理高校入る際には監督だった父親に「無理して柔道をしなくてもいい」と言われるほどだった。「弱くても周りから期待されなくても、自分の可能性を信じて続けてきた」と話す。大学に入ってから徐々に強さを見せ始めた「遅咲き」だった。

 オリンピック3連覇を成し遂げた頃までは、まったく人づきあいをしなかったという。「『弱い自分、流されやすい自分』を分かっていたので誘われたら乗ってしまう。その時間が競技者として世界のトップであるためにプラスかマイナスかしか考えなかった」と、張り詰めたなかで過ごした日々を振り返った。

 4連覇を目指す中、じん帯を断裂しオリンピック出場を逃した。引退も考えたが、悔しさを乗り越えようと手術を受け、紆余曲折を経て40歳まで現役を続けた中で、「自分にはまだチャレンジしたい部分がある」と感じたときに、「弱音を見せてもいいのかな」と、人との出会いを大事にしたいと考えが変わった。

番組収録の様子(写真:ラジオ関西)

 現在の活動のひとつとして、子ども向けに「野村道場」というイベントを年に数回開催する。「好きだったから続けてこられた。それは子どもの頃にすごく楽しい柔道をさせてもらえたから」と振り返り、「技術や成績を求めるのはもう少し後でいい。子どものうちにいろいろなスポーツにチャレンジして、好きになったスポーツを真剣にやってほしい」とエールを送る。

 最後に、今夏開催予定の東京五輪について、「(コロナ禍で)ストレスをかかえて自粛もして苦しんでいる人がほとんどの中で、なかなか理解を得ることは難しい状況だと思う。もし中止と判断が出たときは受け入れるしかない」と述べた野村さん。それでも、「開催に向かって進んでいる以上は、試合でベストなパフォーマンスを出して、見てくださる人にも何か一つでもプラスになってほしいという思いで、(選手たちは)今できる範囲で練習を続けている。何とか安全に、もし開催されたら、選手自体は『応援されるアスリート』であってほしい」と、日本柔道界のレジェンドは、栄光の舞台に向けて研鑽を積む後輩たちをおもんばかっていた。

左から田中大貴さん、野村忠宏さん、林歳彦さん(写真:ラジオ関西)