いま、兵庫県宍粟市の会社が、社屋の一部を“まちライブラリー”として開放。地域の人々の憩いの場になっています。

 創業90年以上を誇る建築会社の上林建設株式会社は、宍粟市山崎町に社屋を移転し、2020年12月に新たなスタートを切りました。今年は「ウッドデザイン賞 ハートフルデザイン部門」「日経ニューオフィス奨励賞」「第23回人間サイズのまちづくり賞」と3冠を受賞し、建設会社として活躍著しい会社の1つです。

「上林建設株式会社」(宍粟市) 正面 外観

 そんな同社は、上林博幸代表取締役を筆頭に「開かれた会社にしたい。地域に望まれるような会社に」という目標を掲げています。そのなかで、社屋を移転する際に、若い社員からこんな話が出たといいます。

「全社員で行う会議は月に1、2回ほど。それでは場所がもったいない。まちの人に利用してもらえるように、“まちライブラリー”にしてはどうか」

“まちライブラリー”とは地域に密着した私設の図書館活動。運営する会社の人や地域の人たちから家で読まなくなった本や雑誌などの寄付を受け、それらの本を誰でも読めるようにしています。場所によればイベント会場として使用することもあります。

 当時、宍粟市にはそういった“まちライブラリー”はありませんでした。

 宍粟市山崎町の上林建設株式会社現社屋は、建設会社ということもあり、設計は自社で行ったそうですが、若い社員の案を受け、上林さん自身も“まちライブラリー”について勉強し、取り組むことにしたといいます。そして2021年4月、「まちライブラリー宍粟」がオープンしました。

「上林建設株式会社」(宍粟市) 社内「まちライブラリー宍粟」

 木造でできた新社屋ですが、「まちライブラリー宍粟」としてオープンした社内の場所もそれは同じ。木の温もりがある建物となっており、緑の多い宍粟市にはまさにぴったりの雰囲気です。館内には大きなスクリーンも整備され、月何回かの会議に使用するほか、ここを貸し出し、研究発表会なども行ったことがあるそうです。

 館内で本を読んで過ごしたりするのはもちろん、貸し出しも行っています。貸し出しは3週間の期限付きですが、署名をするだけで無料で借りることができます。絵本も置いてあり、小さな子どもも家族と安心して利用することが可能です。また、一部の本は販売もしています。

「まちライブラリー宍粟」 本に付属する「みんなの感想カード」

「まちライブラリー宍粟」では本に「みんなの感想カード」が入っています。このカードには一番前に「寄付された人が読んだ感想」が書かれており、その後ろにどんどん読んだ人が自由に感想を書けるカードとなっています。地域の人たちが、本を通してコミュニケーションを取りやすくする工夫です。

 本を読むだけではなく、こういった人と人がコミュニケーションを取る場所というのは、とても大切で温かみを感じます。まさに「地域に望まれるような会社づくり」です。現在はコロナ禍もあり、大きなイベントなどはできませんが、後々は「地域にあったイベントや取り組み」「勉強会」など、たくさんのことに活用していきたいとのことです。