秋は「結婚式が多い季節」なのを知っていますか?

 リクルートブライダル総研の2021年調査によると、一番人気が11月、ついで10月、9月とつづくそう。かつて憧れといわれていた「ジューンブライド」の6月は、意外にも10番人気なんです。

 さて、日本のオーソドックスな「結婚式」とは、挙式と披露宴がセットになったものを指します。今回注目したのは「挙式」の部分。さまざまなスタイルがあり、神社では「神前式」、お寺では「仏前式」、宗教・形式にとらわれず親しい人たちの前で誓うのは「人前式」といいます。

 なかでも、もっともメジャーなのはチャペルでの「チャペル(教会)式」ではないでしょうか。筆者が真っ先に思い浮かべるのは、祭壇の前に立った牧師が「汝(なんじ)病めるときも、すこやかなるときも……」と、新郎新婦に誓いの言葉をうながすシーン。実際の挙式に参列したことのない人でも、ドラマや映画などで一度は見たことがありますよね?

 ただこの牧師、かつては「本物じゃない」ことが多かったようなのです。事実ならかなりショックなことですよね? 真偽のほどを『すみれカンパニー(千葉県浦安市)』代表・花田さんに聞いてみました。

 同社は牧師をはじめ、司会者や聖歌隊など結婚式に必要な人員の派遣をおこなっています。現在所属している牧師は日本人・外国人合わせて10名ほど。

 所属牧師について「全員本物?」と、率直に聞いたところ……

「弊社所属の牧師は、すべて“本物”です。全員がキリスト教の信者であることはもちろん、日本人の場合は神学を学んでおり、実際に牧師として教会に仕えています。とくに外国人の場合は、それぞれの出身国においてのプロセスや牧師のトレーニングを受けてきた人だけを登録しています」(花田さん)

 花田さんいわく、本物の牧師ではない外国人を所属させ、結婚式へ派遣する会社は実在するとのこと。

「チャペルなどでの挙式の進行を行う牧師・神父を、わたしたちは『司式者』と呼んでいます。正直なところ、“司式の進行だけ”なら『本物』である必要はないのです。素人の外国人をバーなどでスカウトし、司式のトレーニングをほどこしてから派遣する会社の存在は耳にしたことがあります」(花田さん)

 本物ではない牧師が結婚式に派遣される背景として、花田さんは「ひと昔前のチャペル挙式ブーム」を指摘します。

「キリスト教徒にとって厳粛なものであるチャペル挙式。新たな挙式スタイルとして日本に登場すると、“オシャレ”とあこがれられブームになりました。ファッション感覚でチョイスされていたように思います。なので牧師にも『ハンサム』や『雰囲気がある』など“それっぽい見た目”が求められていたことは事実です。当時、牧師が本物であることにこだわりを持つ人は少なかったし、本物を確保すること自体が難しかった。とはいえ爆発的に増えた需要に対応するため、このさい“外国の牧師っぽい人ならいい”という発想で、本物ではない牧師の派遣が横行したのでは……と推測します」(花田さん)

 ですが、「多くは本物の牧師じゃない」というウワサめいた認識が広まっていったことで、逆に事態は好転。「本物」にこだわる人が徐々に増える結果となり、現在では司式者の半数が本物の牧師だといいます。

「今や“なんちゃって牧師”は過去のものになりつつあります。今後も真摯な気持ちで本物の牧師を派遣し続けることが、誤った認識を正していく唯一の方法ではないでしょうか」(花田さん)

『すみれカンパニー』に所属する外国人牧師たちは、じつは毎日挙式に派遣されているわけではありません。

「生活のために、派遣のない日は英語教師をしていたり、自身の事業を運営するなど、二足・三足ものわらじをはいている人が多いですね。だからといって『本物じゃない』ということではないのでご安心を」(花田さん)

 結婚式のこだわりは人それぞれ。一生に一度のことだから、後悔しないよう「最高の一日」をつくりあげましょう!

(取材・文=宮田智也 / 放送作家)