「神戸ノート」をご存じですか? 神戸市役所や神戸港などの風景写真がシンプルな2色刷りの表紙になった学習帳です。学習帳といえば、「ジャポニカ(ショウワノート)」や「キャンパス(コクヨ)」が思い浮かぶと思いますが、神戸っ子にとっては「神戸ノート」が絶対的定番なのだとか。

 メーカーである『関西ノート株式会社』(本社:神戸市長田区)に歴史やこだわりなどを聞いてみました。

 まずは会社の歴史について。老舗文具店として知られる同社の前身は、『飯田商店』という明治時代終盤に開業した文具の個人商店でした。大正時代に入り屋号を『関西文具』に改めたのち、1926年(大正15年)、現在の『関西ノート株式会社』として創業しました。 

「神戸ノート」というからには、神戸限定販売なのでしょうか?

「市内の公立小学校の先生方と協同し開発された神戸ノートは、他の地域ではまったく知られておりません。神戸だけで定着している、いわゆる『ご当地文具』です。授業で主に使用される『B5学習帳』は、神戸市内と明石市東部の文具店やスーパー、コンビニなどで販売されているようです」(関西ノート)

 ノートの開発に学校の先生が関わっていたとは……いったいどういう訳なのでしょうか?

「神戸ノートが誕生する少し前、日本は戦後復興期のまっただ中。物資が十分にある状態ではありませんでした。ですが、1948年(昭和23年)に起こった朝鮮戦争による特需で、神戸市内の公立小学校では外国製高級文具を使用する子どもたちも現れていました。そのため、同じ教室に“外国製のノートを使用する子ども”と“製本すらされていないワラ半紙を使用する子ども”が存在する結果に。こうした格差を解消しようと一念発起した当時の先生方と協同し、『全ての子どもたちが高品質の文房具を低価格で購入できるように』と開発されたのがはじまりです」(関西ノート)

 今や当たり前のように「神戸ノート」と呼ばれていますが、正式商品名は「関西ノート学習帳」。1952年(昭和27年)の発売時「神戸ノート」という愛称が付けられ、そのまま定着しました。

 子どもの学習帳としては“シブめ”なデザインテイストも「神戸ノート」の特徴。

「モノトーンを基調にした表紙デザインや表紙の中紙クロスの材料、そしてミシン縫製といった根幹は50年以上変わらない“こだわり”と言えます。とはいえ、教科や時代の変化に応じて追加や製造中止となるノートも。そのタイミングで写真やデザインをチェンジする場合がありますね」(関西ノート)

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 以前より同社は「神戸市立王子動物園」や「ヴィッセル神戸」「阪神電車」など、さまざまな地元企業とコラボを実施。そして、2022年には子ども服メーカー『ファミリア』のデザイン表紙がラインナップしました。

 神戸の街と子どもたちへの愛がつまった「神戸ノート」。これからも使われて続けていってほしいものです。

(取材・文=つちだ四郎)