劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティを務めるラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、カタシマ株式会社の常務取締役・廣氏隆之さんが出演。北近畿を中心に6店舗を展開する但馬地方の老舗洋菓子店の理念と挑戦について語った。

 もともと、1960年に「片島成好堂」という屋号で和菓子やパンを製造しており、その後、1970年に「洋菓子・喫茶カタシマ」として創業。以来、半世紀もの長きにわたり、地元民の圧倒的支持を得てきた洋菓子店だ。平田さんも「家族で利用しています。(レストラン部門の)おせち料理を購入したこともありますよ」と、普段から利用している様子。

 創業当初は、都会や海外の流行をいち早く仕入れて地元に紹介するという役割を担っていたカタシマ。しかし、モノも情報もあふれている現代においては「本物志向」のユーザーも増えているため、世界に誇る但馬の食材をプロフェッショナルの手によって再構築し、国内外に向けて発信する役割へと変化していった。

 地元養父市の特産品である「天滝ゆず」を使ったマーマレードは、毎年3月にイギリスで行われるマーマレードの世界品評会「ダルメイン世界マーマレードアワード」において、2020年から3年連続で金賞を獲得している。兵庫県下一を誇る名瀑「天滝」のふもとで1本1本丁寧に育てられた天滝ゆずは、さわやかな香りとフレッシュでほどよい酸味が特長で、受賞を機にその名が世界に知られることとなった。

 今年の9月には城崎温泉に、但馬のブランド米「コウノトリ育むお米」を使用したグルテンフリー・スイーツ専門店をオープンし、かつての屋号である「片島成好堂」を復活させた。宝石のように美しい米粉のカヌレの販売や、パティシエがつくる本格スイーツを24時間いつでも購入することができる「お菓子の自動販売機」を設置するなど、既存店舗ではできなかった新たな挑戦を試みている。

 さらに、同店のスイーツは小麦粉の混入を防ぐためにグルテンフリー専用工房で製造されており、アレルギーを持つ方も安心してスイーツが楽しめると好評だ。

 城崎温泉は、1年を通して国内外の観光客が訪れる注目度の高いまち。販売方法やターゲットの開拓など、チャレンジができる場としても魅力的だ。秋に開催される『豊岡演劇祭』のロゴをかたどったフランス菓子「ガレット・デ・ロワ」など、地元イベントとのコラボ商品も人気を博した。

『豊岡演劇祭』のフェスティバルディレクターを務め、フランス滞在経験もある平田さん。「ガレット・デ・ロワの見た目は意外と地味なんですよね(笑)。でも、切るとフェーブ(もともとは『豆』の意)という“当たり”のようなものが入っていて、それを引き当てた人はパーティのあいだ王冠をかぶっていなきゃいけない。そんな楽しいお菓子なんです」と、コラボ商品として発売された「ガレット・デ・ロワ」について、詳しく教えてくれた。

 さらに、「(そういったお菓子をイベントとコラボさせる)センスが素晴らしい。但馬は、無農薬の食材を安定して提供することのできる場所でもあります。カタシマさんには(北海道・帯広の)六花亭さんのようなポテンシャルがあると思っています」とコメント。

 この言葉をうけ、廣氏さんは「食材を提供くださる但馬の生産者の皆さんもこだわりをもっています。お菓子を通じて但馬を発信していく拠点になれれば」と抱負を語った。

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2022年12月1日放送回より