サッカー・J1は、34試合中27試合までが終わり、勝負はいよいよ第4コーナーに突入。現在首位に立つヴィッセル神戸は、悲願のJ1リーグ初制覇のため、逃げ切りを図りたいところ。そこで迎える秋の上位決戦第2弾は、同じ関西のライバル・6位セレッソ大阪とのホームゲーム。23日にノエビアスタジアム神戸で顔を合わせます。キックオフ予定は午後7時です。

 両者の対戦成績はヴィッセルの13勝7分け17敗で、最近もヴィッセルは7試合、セレッソに勝てていません。最後に勝ったのは2万3千人以上の大観衆が集った2019年シーズンのノエスタでのホームゲーム(2019 J1第32節)。そのときは古橋亨梧選手(現、セルティック/スコットランド)のゴールで1-0と勝利し、そこから公式戦5連勝で、シーズン終盤の天皇杯初優勝につながりました。

 今シーズン、連敗のないヴィッセルは、敗戦後の試合を軒並み白星で飾っています。その流れを維持し、満員が予想される一戦で勝利の神戸讃歌を歌うことができるか。それとも、セレッソが近年の相性のよさもいかしてヴィッセルからダブル(今シーズン連勝)を勝ち取り、上位争いを混戦模様にするのか……。

 試合当日は乃木坂46の五百城茉央(いおき・まお)さんや、「ラブライブ!スーパースター!!」平安名すみれ役の声優・ペイトン尚未さんも来場するなど、イベント盛りだくさんのノエスタ。その地で行われる激戦必至の上位対決を前に、ラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』9月18日放送回では、番組のパーソナリティー陣とセレッソの番記者・小田尚史さん(サッカーライター、「エル・ゴラッソ」セレッソ担当)がマッチプレビューを展開。トークバトルは試合を思わせるような白熱したものになりました。

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【『GOGO!ヴィッセル神戸』(以下、番組)】 セレッソは3連勝のあと、鹿島アントラーズにアウェイで敗れ、6位に後退しました。前節を振り返っての感想は?

【小田尚史さん(以下、小田さん)】 セレッソとしてはよくある鹿島戦の流れになり、ミス絡みというか、相手が巧かったところもあり、ボールを失って失点してしまいました。その後、相手に退場者が出て、かなりの時間を1人多い状態で戦えたのですが、攻めども攻めども相手に跳ね返されて、なかなか1点が遠く、相手の守備が堅かった。また、鹿島FW鈴木優磨選手が別格の存在感。一人少ない状況でも彼にボールが入ったらチャンスを作られるなど、いろんな意味で彼にやられた試合でした。それでも、試合後、監督や選手たちは、(内容に)手応えもありつつ、もっと質を上げていかなければという思いで、まったく下を向く感じではなかった。セレッソとしては残り7試合、一戦必勝で戦っていくのみです。

【番組】 ヴィッセルもそうですが、セレッソも先制点を取ったら強い印象です。(※先制した試合は、ヴィッセルが13勝2分け1敗、セレッソが14勝3敗)

【小田さん】 先にとって堅い守備からカウンターがセレッソの必勝パターン。次の試合もそういう展開へ持っていきたいですし、先に取ったほうが優位に運ぶことは間違いないです。

【番組】 ヴィッセルとセレッソは同じようなスタイル(ハイプレスや堅守、サイド攻撃のよさ)を持つ反面、負けたときには同じような悩み・課題をかかえているようにも見えます。

【小田さん】 セレッソも最近の負け試合はパターンが似ています。序盤に隙を突かれて取られて、そこから押し込むも、1点が遠いという流れです。だからこそ、先に取ることが勝つためのマスト。セレッソの理想は、前節、神戸と戦ったサンフレッチェ広島のように、アグレッシブに前半から畳みかけて、サイド攻撃を使いつつ、先制できれば。ただし、神戸も前節を受けての試合なので、立て直してくる可能性もあり、メンバーを含めて、相手の出方を見なきゃいけないかなと思います。

【番組】 お互いに前節の戦いが参考になりそうです……。試合としては序盤からおもしろくなりそうですね。

【小田さん】 前節は鈴木選手にやられたので、今回は大迫勇也選手にやらせない(持ち味を出させない)ために、そこに入るボールに(DF)1人が行って、そこで取り切れなくてもセカンドボールを拾って、そこから厚みのある攻撃を、ということになれば。とにかく、ヴィッセルのキーマン・大迫選手をつぶすことが大事になります。

【番組】 ヴィッセルとしては、相手のストロングポイントであるセレッソのサイド攻撃、右のジョルディ・クルークス選手、左のカピシャーバ選手に好きにやらせないこと。逆に、サイドからしっかり相手DFを崩していきたいですね。クロスからの決定機はヴィッセルも多いので、MF汰木康也選手、DF初瀬亮選手、DF酒井高徳選手らのクロスに、大迫選手、FW武藤嘉紀選手らが中であわせてゴールを決められればと願います。

【小田さん】 セレッソにもいま絶賛進化中の右サイドバック、DF毎熊晟矢選手がいます! 鹿島戦でも、代表から帰ってきたばかりにもかかわらず、すごく自信を持ってプレーしていましたし、ドリブルの仕掛けも増えたように感じます。なにより、メンタル的に1つ強くなっていました。クルークス選手とのコンビで右をどう切り開くかは見どころです。

【番組】 そうなると、セレッソのキーマンは……。

【小田さん】 そういったクロスから最後に仕留める9番、レオ・セアラ選手です! 両サイドから作ったチャンスをレオ・セアラ選手が仕留め切れば、優位に進めるはずです。

【番組】 ヴィッセルだと、まさに大迫選手のようですね。レオ・セアラ選手にわたらないようにしないと……。

【小田さん】 ボールはわたるんです! あとは、そこを仕留めきればというところですね。それに、この試合は、監督同士も神戸・滝川第二高校の先輩後輩対決になりますので、見どころは本当に多いです。

【番組】 忘れてはいけないのが、ヴィッセルに移籍加入した元スペイン代表MFファン・マタ選手と、セレッソの香川選手とのマンチェスター・ユナイテッドでのチームメイトだった2人の対決ですね!

【小田さん】 マタ選手がどのような状況で出てくるかわからないですが、マッチアップが楽しみ。香川選手も対戦をワクワク、楽しみにしているのではと思います。

【番組】 小田さんは、今年セレッソに復帰した香川選手の活躍をどう見られていますか?

【小田さん】 活躍はすると期待は持っていましたが、スタイル的なところで、いまは完全にボランチ。ここまで、このポジションでシーズンをフル稼働するとは予想外でした……。もうちょっと前目でプレーするのかと思っていましたので。今は遠藤保仁選手のようなプレーで、サイドチェンジなど、すごい(ピンポイントに)スペースに蹴るようなパスを1試合で何本かズバズバと通すんです。仕留めるアタッカーからプレーメーカーに変わりましたね。運動量も豊富で、走れますし、いろんな意味で中心になっています。ここまで走れて出続けるのはすごいこと。長年しっかりケアしていることが(今の活躍ぶりから)垣間見えます。

【番組】 中盤の争いでいえば、元セレッソのMF山口蛍選手とのマッチアップも興味深いですね。

【小田さん】 彼もいい選手です。前回はゴールを取られてしまいました……。

【番組】 山口選手の活躍は、セレッソに関わる方々にとってはうれしいものでしょうか。

【小田さん】 試合になると(うれしいとかは)まったくないですね。山口選手個人のことは応援していますが、それと対戦とは別物なので。

【番組】 そういえば、ノエスタで香川選手がJの戦いでプレーするのは、これが初めてになるのでは?

【小田さん】 ドイツに行く前の最後の試合が長居スタジアム(現、ヤンマースタジアム長居)でのヴィッセル戦でした。あのときは彼が自ら直接FKを決めて勝ちましたよね。香川選手は神戸出身ですし、地元でいいプレーをしてほしい。そういうところも含めて、セレッソにとってはいろいろストーリーが多い試合になります。上位対決ができるのはすごくうれしいですし、注目ですね!

【番組】 では、どんな展開になると予想しますか?

【小田さん】 セレッソが先に取って、そのままクローズできれば。予想は、レオ・セアラ選手のゴールで1-0の勝利。彼がズドンと決めてくれればと思います。理想を言えば、3-0、3-1など複数得点できればいいのですが、神戸も強いので、1-0で勝てれば万々歳です。

【番組】 ヴィッセルとしては、前半に先制、後半アディショナルタイムにダメ押し点で、2-0! 前回の対戦ではMF佐々木大樹選手が後半にゴールネットを揺らしたのですが、オフサイド判定で無情にもノーゴールとなってしまいました。だからこそ、山口選手とともに今回は決めてほしいなと思います。そして、チームがこれまで何をして勝ってきたかといえば、堅守ですよね。そのベースを取り戻して、クリーンシートでセレッソを封じたいところ。前半リードすれば10勝2分けという好データもありますし、先手をとって、セレッソの圧力をしのいでいければ。さらに、マタ選手の直接FKでダメ押しとなれば、ノエスタは最高潮に盛り上がります!

【小田さん】 お互い、前節は前半に課題がありました。そこをどう修正できるかというところですね。最初の15分、両方にとってカギとなる時間だと思いますが、たとえ0-0で終わったとしても、お互いの入りがポイント。序盤から目が離せません! 野球も関西が盛り上がっていますから、サッカーも関西勢で盛り上げていきたいですね!

【番組】 そうですね! お互いに上位で争って盛り上げていきたいですが、ヴィッセルとしては首位を走るためにも、ライバルを蹴落とせざるを得ません!

【小田さん】 ここでセレッソが勝てば優勝争いに加わっていけますので、落とせないのはこちら、勝つのはセレッソです!