2024年はうるう年。2月は29日までとなり、夜も1日長くなります。寒さが厳しいですが、この時期しか見ることができない星もあり、観察のチャンスが少し広がります。

 冬の夜空は1等星が多く、1年の中でも豪華な星空となります。21ある1等星の中で、一番明るいのがマイナス1.5等のおおいぬ座のシリウス。南の空で青白く輝きます。そして2番目に明るいのが、マイナス0.6等のカノープスです。このカノープス、2月だけが観察のチャンスです。

 カノープスはりゅうこつ座の1等星で、地球から309光年離れた所で太陽と同じように単独で輝いています。日本では東北地方の中部から北寄りの地域では、南の地平線上に昇ってこないので、見ることができません。南へ行くほど高く上り、神戸では南中時に水平線のほんの少し上に見ることができます。ということは、南の空が開けたところ、地平線・水平線が見えるところで探すことが必要です。南中する前後30分ほどが狙い目です。

 目印は、1等星・シリウス。シリウスが真南にやってくる頃、視線を地平線・水平線あたりにほぼまっすぐに落としてみましょう。少し赤味を帯びた星があれば、それがカノープスです。実際には白く輝く星ですが、日本では大気によって減光され、赤味を帯びた暗い星に見えます。

「兵庫県北部では見るのが難しいかも。山頂付近で南が開けているところなら可能性はありますが…」と話すのは明石市立天文科学館の井上毅館長。明石では南の地平線近くに見えるそうです。明石市立天文科学館では、2月10日(土)に開催するウインターナイトミュージアムで、カノープス探しにチャレンジする予定です。カノープスは南に行けばより高い位置で見ることができることから、石垣島天文台(沖縄県)と結び、ライブ中継を行うことにしています。

 カノープスは全天の1等星の中で2番目の明るさを持ちながら、日本からはあまりに南にあるためなかなか目にする機会がありません。存在自体は飛鳥時代から知られており、キトラ古墳(奈良県)の星図にも描かれています。古代中国では、黄河流域で南の地平線すれすれに現れる奇妙な赤い星として知られていました。見える時もあれば見えない時もあり、また縁起のいい赤い色であることから、中国では「南極老人星」や「寿星」と呼ばれ、見ることができれば健康で長寿にあやかることができる、おめでたい星とされていました。また古代エジプトでは、「水の神」として崇拝されていたということです。

 さて、2月の夜空でひときわ目立つのは木星です。およそマイナス2等の明るさで、空が暗くなっていくにつれて南西の高い位置に見えてきます。15日にはこの木星に三日月より少し太った月が近づき、並んだまま西に傾いていき、深夜には相次いで沈みます。木星のそばにはガリレオ衛星、月の右にはおひつじ座の中で一番明るいハマルも。望遠鏡を使うと見られそうです。

 日の出前には東の空で金星も輝きます。7〜8日には細い月と接近、22日には火星と大接近します。「明けの明星」は2024年に入って高度をどんどん下げています。そして3月になると、見ることが難しくなりそうです。

 24日、月は「2024年の満月として地球からもっとも遠い満月」となります。これは地球の周りを公転する月の軌道が楕円形をしているためで、24日の地球と月との距離は約40万6000キロメートルとなります。最も近くなるのは10月17日で、距離は約35万7000キロメートルです。井上館長は、「肉眼でも大きさの違いはわかると思います。写真に撮るとよくわかるので、10月に比較してみるといいですね」と話します。

 寒さ厳しい時期ですが、この時期ならではの星を楽しみましょう。

(参考:国立天文台HP、藤井旭「星空教室・冬の星座」、早水勉「星空大全」 協力:明石市立天文科学館 井上毅館長)