平成生まれでありながら、昭和のカルチャーをこよなく愛する“ネオ昭和アーティスト”阪田マリンさん。そんな彼女が心安らげる場所であるという「昭和の空気が残る喫茶店」の楽しみ方には、“平成生まれの昭和好き”ならではのこだわりがあるといいます。阪田さんに話を聞きました。

 おばあちゃんの家で見付けたレコードをきっかけに昭和カルチャーにドハマりし、衣服や雑貨・音楽に食べ物まで常に“昭和の香り”が色濃く残るものを探し求めているという彼女。なかでも、街の喫茶店には、昭和にタイムスリップできるほどディープな雰囲気のお店が数多く残っているといいます。実は、阪田さんの出身地でもある大阪府は、人口あたりの喫茶店の数が日本で一番多いとも言われる地域。その中から、阪田さんが心惹かれる喫茶店を探し当てるには、いくつかのポイントがあるそうです。

 まず注目するのは、お店の看板。漢字2文字やカタカナ3文字といったシンプルなものや、「喫茶室」といった文言が入った店名なら“アタリ”の可能性が高いのだとか。次に、看板に書かれた店名のフォントにも注目しているそうで、「昔ながらの明朝体やシンプルなゴシック体、昭和アイドルの手書き文字風で少しハゲていたり色褪せたりしているとドキドキするんです!」と目を輝かせます。また、店前に食品サンプルが並んだショーケースが配置されているかどうか、入り口付近に「喫煙可能」の文字があるかどうかなども店探しのヒントになるそう。こうしたポイントをもとにお店選びを行うことで、店内が見えなくても雰囲気を予測できるといいます。

 店内での過ごし方にも昭和を愛するがゆえのこだわりがあるといいます。阪田さんによると、はじめて訪れたお店で注文するなら、おすすめは断然プリンだと熱弁。「喫茶店のプリンの固さと、店の『昭和度』は比例する」という持論があるといい、プリンにスプーンを入れる瞬間の感触が固ければ固いほど幸せな気持ちになるそうです。

 そして、お店の様子を伺いつつ、マスターやママとの会話を楽しんだあかつきには「お店のマッチ箱があればいただけませんか?」と尋ねるという阪田さん。最近では、禁煙を掲げる喫茶店が増加し、かつては当たり前だったというオリジナルマッチを置いていない店が増えていますが、行き場のなくなったマッチの在庫を保管している店も多いそう。阪田さんは、そのレトロな風合いに惹かれ、喫茶店の特製マッチ箱をコレクションしているといいます。

 他にも、「注文したメニューは必ず全ておいしくいただく」「写真を撮る場合はお店の方に確認してからにする」などといったマイルールがあるという阪田さん。「昭和な喫茶店を愛する者として“映え”だけを目的にせず、メニューや雰囲気を楽しむ気持ちを大切にしています。これからも喫茶店文化がずっと続いていって欲しいです」と語ってくれました。

※ラジオ関西『Clip火曜日』2024年4月9日放送回より