大型連休が終わり、次の祝日は7月15日の「海の日」。約1か月半、3連休がなく、少し憂鬱な気分になりますね……。そんな忙しい日々でもサクッとお腹を満たせる食の味方といえば、立ち食いそばではないでしょうか。「安い」「早い」「うまい」の3拍子が揃っていてよく行くという方も多いのでは?

 そのなかで、JR姫路駅にある立ち食いそばは、意外なコラボが魅力の、地元を代表するソウルフード。ここでは、そのヒストリーに改めて注目します。

 まねき食品(姫路市)が運営し、JR姫路駅には3店舗を構える「えきそば」。中でも、JR姫路駅在来線下りホームの立ち食いそば店は、アートを前面に押し出したカラフルな外装で目を引きます。

 お店の方に聞くと、子どもから大人、2025年大阪・関西万博などに訪れる外国人観光客にも親しみやすいデザインにするため、創業75周年を迎えるのに合わせ、今年3月にリニューアルしたそうです。

 ただ、外国人観光客が何も知らず日本のオーソドックスな立ち食いそばを食べようとしてこちらのお店に入ると、独特の組み合わせに驚くかもしれません。

 透き通ったおつゆの中に入っているのは、和そばではなく、中華麺。これが、多い日は駅内3店舗で一日2000食を売り上げるほどの人気で、姫路のソウルフードといわれるゆえんです。

 では、なぜ中華麺が使われているのでしょうか。

 まねき食品によると、「えきそば」がホームに登場したのは、終戦間もない1949(昭和24)年。食料が満足に手に入らない中、簡単で大掛かりな設備もいらない麺類を姫路駅に販売しようとしました。

「いきなり中華麺だったわけではありません。創業当時、もともとはうどんがメインでした。しかし日持ちがしなかったので、試行錯誤の結果、中華麺のコシや風味を生み、日持ちしやすくなる『かんすい』を入れて“特製中華麺”を提供することになりました」(まねき食品)

 いずれはうどんのみに戻すつもりだったそうですが、ツルッとした中華麺ののどごしと優しい和風だしのハーモニーが思わぬ人気となり、ロングセラー商品に。

 ちなみに、今では一般的なうどんやそばもお店のメニューにありますが、断然出るのは中華麺の「えきそば」とのこと。

 忙しい日々がまた戻りますが、姫路駅を訪れた際は味わってみてはいかがでしょうか。

(取材・文=境祐貴)

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 神戸のロックンロールバンド「ワタナベフラワー」(クマガイタツロウ、ムサ、イクロー)がパーソナリティーを務めるラジオ番組『Clip』水曜日(#すいくり)内では、「えきそば」の起源が紹介されたとき、「まさに“ファーストペンギン”や!」(クマガイ)と、一同が驚愕。そこから、「地元にソウルフードがあるのはいいなぁ!」という話に発展していました。

※ラジオ関西『Clip』2024年5月8日放送回「トコトン兵庫!」より