神戸市長田区のラーメン店で2023年4月、店主が殺害された事件で、指定暴力団「絆会」幹部の男(55・別の殺人未遂罪などで起訴拘留中)が関与した疑いが強まったとして、兵庫県警が店主を殺害した容疑で逮捕する方針を固めたことが、捜査関係者への取材でわかった。

 男は2020〜22年、長野、茨城両県で起きた2件の発砲事件で逮捕、起訴されており、兵庫県警は近く男の身柄を移送する方針。

 殺害された店主は、特定抗争指定暴力団「六代目山口組」の中核団体、弘道会系「湊興業」の余嶋学組長(57)。

 死因は、銃弾が中枢神経系を構成する脳幹を貫通したことによる脳損傷で、ほぼ即死状態だったとみられる。店内から薬きょうのようなものが見つかり、拳銃で撃たれた可能性が高いとされたが、拳銃は見つかっていなかった。

 店員による119番通報の約20分前に、帽子をかぶった男が店に入る姿が付近の防犯カメラに写っていたという。カメラはこの男が数分後に店を立ち去った様子もとらえていた。

 兵庫県警は、男が店主が1人でいるすきを狙ったとみている。

 男の潜伏先から押収された自動式拳銃の銃身を確認すると、「線条痕」と呼ばれる発射された弾丸の痕跡があり、神戸の事件で使われた銃弾のものと一致したという。