兵庫県福崎町の天台宗古刹・應聖寺(おうしょうじ)で、沙羅双樹の花が見ごろを迎えた。

 正式にはナツツバキ(夏椿)という。『平家物語』の冒頭には「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」とあり、沙羅は諸行無常をたとえる花とされる。

 白い花が朝に咲き夕方には散ることから、平家物語では「盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」と記されている。
「栄華を誇った平家ですら、すぐ源氏に取って代わられたことから、私たちの人生も春の夜の夢のようにはかないものだ」と人の世の無常を教えてくれる。

 7月上旬までが見ごろ。毎年1日だけの花を見に訪れる参拝客でにぎわう。

 應聖寺には江戸時代から伝わる樹齢300年を超す沙羅の大木があった。しかし1996(平成8)年、突如枯れてしまった。桑谷祐顕住職は「まさに諸行無常の理(ことわり)の通り、”樹命”を終えるのかと実感した。生きとし生けるものは、みな終わりがあるのだと教えられた」と話す。
 現在では、その大木の種から芽吹いた子や孫にあたる沙羅の木が、大小約200本育っている。

◆應聖寺茶室「不動庵」夏季特別公開

 應聖寺では6月22日(土)10時〜14時(受付・境内は17時まで)、茶室「不動庵」で茶会を開く(予約不要)。沙羅や名勝庭園のキョウカノコ、シモツケ、ユウゼンギク等の花々が楽しめる。

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 應聖寺には1000種以上の植物が育っている。四季折々の花々を見てほしいという思いから出来るだけ手を入れず自然な姿を残している。春には桜、秋にはシオン(紫菀=十五夜草)、ホトトギス、タカノハ(鷹の羽)、ススキ、ムラサキシキブ、コムラサキ、さらに11月に秋が深まれば、ツワブキ(艶蕗)、カイノキ(楷樹)の紅葉、12月初旬にはセンリョウ・マンリョウが色づき、全山がモミジの錦に包まれる。

◆妙見山應聖寺(みょうけんざん・おうしょうじ)兵庫県神崎郡福崎町高岡にある天台宗の寺院。飛鳥時代の白雉年間、1300余年前に天竺の高僧・法道仙人によって開基されたと伝えられている。鎌倉時代、播磨国は有力御家人の梶原景時の所領を経て小山氏の領地となり、應聖寺は代々播磨国守護職の祈願所として発展。関西花の寺二十五霊場八番、播州薬師霊場第十三番札所。「名勝應聖寺庭園」は兵庫県指定文化財。