2022年9月に群馬県渋川市の障害者支援施設で入所者の50代男性を両手で突き飛ばして死なせたとして、傷害致死の罪に問われた元職員で、沼田市のアルバイトの男(61)の裁判員裁判の初公判が9日、前橋地裁(山下博司裁判長)であり、男は起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、夜勤中だった男(61)がインターホンに触れている男性を見て、壊そうとしていると思い犯行に及んだと指摘。男性の背中をたたいた後、「おい、ふざけるな」と言って左胸を突き飛ばしたとした。

 男(61)は倒れた男性を抱えて椅子に座らせた後、仮眠を取った。その後、椅子に座り、目を閉じて天井を向いた男性を発見。声をかけ、起こすために頭を持ち上げたところ、男性は脱力した様子で椅子から落ちたという。

 弁護側は「インターホンから引き離すために押した。転倒させるためではない」と主張した。

 冒頭陳述によると、22年9月18日午後8時50分ごろ、渋川市の施設で入所者の男性=当時(59)=の上半身を両手で突き飛ばし、頭を床に強打させて右急性硬膜下血腫などを負わせ、搬送先の病院で10月、脳ヘルニアで死亡させたとされる。