群馬大医学部付属病院(前橋市)は21日、独自に開発したオンライン診療システムを用いて、西吾妻福祉病院(長野原町)を受診した救急患者の診断を群大病院から支援するシミュレーションを行った。実際の患者を想定したCT画像やカルテを共有し、転院搬送の必要性などを確認した。

 診療システム「G―スペース」は医療用に特化し、情報漏えいを防ぐ安全性や画像の解像度を向上させた。へき地医療拠点病院の西吾妻福祉病院で今後本格的に導入し、専門医が不足している分野を中心に、群大の医師が診断をサポートする。

 シミュレーションでは、めまいなどを訴える高齢の患者のCT画像からくも膜下出血の発症を調べ、通信や搬送手続きも確認した。群大大学院医学系研究科の石井秀樹教授(循環器内科学)は「搬送を受け入れる側も正確な情報を得て早く準備でき、命を助けるシステムになる」と話し、西吾妻福祉病院の三ツ木禎尚院長は「高齢者の脳血管や心臓の疾患などが多く、搬送の判断に迷うケースもある。スタッフに周知して活用していきたい」と期待した。