2022年10月に群馬県太田市飯田町のラーメン店で、男性店長を包丁で刺すなどして殺害したとして、殺人の罪に問われた同市の無職の男(32)の裁判員裁判の論告求刑公判が17日、前橋地裁(橋本健裁判長)であった。検察側は「精神障害が犯行に与えた影響は大きいが、最終的に犯行を選択したのは(男)自身だ」として、心神耗弱により減刑して懲役15年を求刑、弁護側は心神喪失による無罪を求めて、結審した。

 検察側は論告で、被害男性への恨みを理由に殺害を決めたのは、男の暴力的な人格が影響したと指摘。その上で「強固な殺意だった。(男性は)どうして襲われているのか分からなかったはず。残虐で冷酷な犯行だ」と非難した。被害者参加弁護士は「相当の罰を受けるべきだ」と述べた。

 弁護側は「元々暴力的だったというのは疑問だ。(診断した医師は)直接診察していない」と指摘した。

 被害者参加制度で、男性の妻が出廷し「地獄に突き落とされ、生活は一変した。(男を)許すことは絶対にない」と意見陳述した。

 論告などによると、22年10月30日、同市にあったラーメン店で、店長の男性=当時(42)=の首や胸、腹などを包丁で複数回突き刺し、顔面を複数回切りつけるなどして殺害したとされる。