今が旬のとうもろこし。最近スーパーなどで並んでいるのをよく見かけますね。今回は、女性2人のとうもろこしにまつわるエピソードをご紹介しましょう。

◆同棲解消された過去が
斉藤茉莉さん(仮名・28歳・契約社員)の場合。

「Y(30歳・メーカー勤務)と付き合い始めて半年になるのですが、絶対に今度こそはプロポーズされたい!とひそかに意気込んでいるんですよ」

実は以前、同棲していた元カレの前で気を抜きまくっていたら『女を感じなくなった』と振られてしまった茉莉さん。二度と同じ失敗を繰り返さないようにしなくちゃと気を張っているそう。

「なのでYの前では大きな口をあけることもできず、ハンバーガーも食べられない感じで過ごしているんですよ」

◆クローゼットから声が?
そんなある日、茉莉さんはいつものように会社帰りにYさんの部屋に寄り、ひとり帰りを待っていました。

「その日はYが帰ってきたら一緒に外食しに行く予定になっていたのですが、ちょっと小腹が空いていた私は、スーパーで買ってきた茹でとうもろこしを食べ始めたんです」

実は茉莉さん、いつもYさんとの食事の前にちょっと何かをお腹に入れておいて、少食のフリをしていたんだとか。

「Yにもっと好かれたくて、つい可愛い女の子を演じていたんですよね。Yが帰ってくる前に食べ終わらなくちゃと、勢いよくとうもろこしにかじりついていたら…クローゼットから笑い声が聞こえてきて」

すると「めっちゃ美味しそうに食べるね〜」と笑いながらYさんがクローゼットから出てきました。

驚き過ぎた茉莉さんは、唖然として固まってしまったそう。

「実はY、出先から直帰してはやく家に帰ってこれたので、私を驚かせようとクローゼットに隠れていたそうなんです。子供みたいですよね」

無理して少食ぶっていた茉莉さんでしたが、すべてバレてしまい、落ち込んでしまいます。

◆可愛こぶっていたのに
いちばん見られたくない、今まで隠し通してきた姿を見られてしまった茉莉さんは膝から崩れ落ち、あからさまに落ち込んでしまいました。

「ですがYが『僕は茉莉が美味しそうにかぶりついている姿がすごく可愛いと思ったよ。これからは気にせずに僕と一緒にいっぱい食べようよ!」と言ってくれたんです」

その言葉に茉莉さんは、心底ホッとしました。

「なんだかんだで今までかなり無理をしてきたので。素の私を受け入れてもらえるチャンスなのかも?と思いました」

「とうもろこしの残りを食べちゃいなよ」とYさんに言われた茉莉さんは、思い切っていつものようにかぶりつきました。

「Yは『こんなにとうもろこしを可愛いく食べる子は他にいないよ!チャンピオンだね、ベルト巻いて歩かないと』と異常に褒めてくれて…それ以来、可愛こぶる演技をやめることができたんです」

とうもろこしのおかげで、茉莉さんにとっての可愛いと、Yさんにとっての可愛いにギャップがあったことに気がつくことができたそう。

「ですがもちろん、以前みたいに気を抜き過ぎないようには気をつけていますよ。ある程度の緊張感がないと、ときめきが持続しないということを学んだので」

続いては料理上手な女性のちょっと悔しかったエピソードです。

◆料理下手な彼
井上夏希さん(仮名・30歳・会社員)の場合。

「同棲して2年になるK(28歳・会社員)は、目玉焼きを作っても失敗するほど料理が下手なので、必然的に私が料理係になりました」

そしてKさんは、片づけ+掃除係を担当しています。

「ある日、Kの友達から大量にとうもろこしが送られてきたんですよ。思わず興奮しちゃいました!子供の頃から大好きなんです」

◆とうもろこしの調理法
夏希さんは、さっそく塩茹ですることにしました。

「私はいつも、大きい鍋に塩水でとうもろこしを10分茹でます。そして火を止めてそのまま更に10分放置するんです。すると美味しく塩味がしみるんですよね。このやり方は、母親に教わったんですよ」

そして、夏希さんが茹でたとうもろこしを食べていたKさんがいきなり…。

「『いいこと教えてあげる!』と席を立つと、ダンボールからとうもろこしを取り出して、薄皮2枚程残すまで剥き、ちょっと水をかけてラップに包み、電子レンジに入れたんですよ」

そしてKさんはビニール袋の中に塩水を作り、5分間レンチンしたとうもろこしを浸しました。

「数分放置したとうもろこしを『ちょっと食べてみて』と渡されたので一口食べてみたら、

私が茹でたのより水っぽくなくて、蒸されることで甘みが増したのか…とにかくめちゃくちゃ美味しくなっていたんですよ」

美味しいけれど悔しい気持ちになってしまった夏希さんは…

◆認めたくない!
料理のできないKさんがレンチンしただけのものの方が、自分の母親直伝の茹で方のとうもろこしより美味しいなんて、夏希さんは認めたくありませんでした。

「『私はきちんと塩茹でした方が美味しいと思う。レンチンはやっぱり手抜きの味がする』とつい思ってもいないことを言ってしまったんです」

Kさんは「この方法は前にテレビで見たんだけど、手軽にすぐできて美味しいし、洗い物もでないしいいなと思ったんだけど」と悲しそうな顔をしました。

「素直に『うん、そうだね。合理的で美味しく作れて最高だね』と言ってあげない自分って意地悪だなと思いましたが、何だかどうしても悔しくて嫌だったんですよね…」

◆ちょっと反省
気まずい時間が流れましたが、しばらくするとKさんが「せっかく夏希ちゃんが美味しく茹でてくれたのに、張り合ってごめんなさい。ちょっと豆知識自慢してみたい気持ちになっちゃっただけで、悪気はなかったんだよ」と謝ってきてくれたそう。

「それ以来、食卓にとうもろこしは上っていませんね。もし次に似たような事が起こったら…今度は素直に認めてあげたいなと思っています」

<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop