<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.20/経済評論家・佐藤治彦>

 2022年の夏は、新型コロナウイルスの第7波の猛威に日本中が翻弄(ほんろう)されました。

 予定されていた全国的な旅行支援の7月からのGoToキャンペーンは延期されてしまいましたが、国主導の緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置は取られませんでした。

 しかし、7月下旬からは全国での新規感染者数は今までの最高の1日20万人を大きく超えることもあり、それとともに重傷者数、死者数も増えてしまいました。去年の夏以上に、医療現場では通常医療の確保が難い状況になっているとも言われます。

 特にオミクロン株が主流になってからは、皆さんや、皆さんの周りでも感染した人が多く出たのではないでしょうか?

◆コロナでの入院は入院給付金が支払われることが多い
 新型コロナウィルスは私たちの生活に大きな変化をもたらしただけでなく、経済的にも多大なダメージを与えています。

 8月に政府から発表された数値によると、私たちの実質賃金は3か月連続で低下しているとのことです。コロナに感染してしまい、何日も仕事から離れたことによって減収になった人も多いのではないでしょうか。

 減収になっただけでなく、自ら得ることのできる仕事以外からの収入も気づかないままに放ったらかしにしている人が多いものです。新型コロナウィルスにまつわることにもあります。

 新型コロナウィルスに感染し入院などをした場合。日本では全額が公費で賄(まかな)われることになっていますので本人の負担はありません。ワクチン接種の費用も全額国が負担しているのもご存知の通りです。

 そういう背景から気づいていない人が多いのですが、もしも、あなたがコロナで入院した場合には、民間の医療保険の加入者には入院給付金が支払われることが一般的なのです。

 つまり、コロナの入院ではお金を一切払っていないけれども、入院をしたので、通常の入院と同等に民間の保険会社から入院給付金が支払われるというわけです。

◆自宅療養・ホテル療養で入院給付金が出ることも
 例えば、1日目から1日5000円の入院給付金が出る方が、10日間のホテル療養をしたので、5万円の入院給付金が出る。1日1万円なら10万円というわけです。

 民間の医療保険は、病気や怪我をした人の医療費の負担を補うことだけが目的でなく、治療や入院などで仕事上の影響が出て減収になったり、支出が増えたりした時の経済的なサポートの支援という側面もあるのです。

 もしも、あなたの加入している生命保険に入院給付金があるのなら、きちんと保険会社に請求して、保険金をもらいましょう。

 そして、これは病院での入院だけではありません。主に軽症者などを対象にしたホテル療養や、医療逼迫時に求められた自宅療養でも、病院に入院したと同様に、入院給付金が支払われることがあるのです。

 自分は入院もしていないし、特に症状が強かったわけでもない。ホテル療養や自宅療養だったから、入院給付金なんて出ないでしょ、と思っていたら損をしているかもしれません。

◆入院給付金を支払ってもらうためには?
 入院給付金を保険会社が支払ってもらうためには主に2種類の書類を提出することが求められることが一般的です。

 ひとつは、『新型コロナウィルス感染症・治療状況報告書』というもので、保険会社のホームページなどに雛形(ひながた)があり、そこに皆さん自身で記入するものです。

 もうひとつは、皆さんが入院などしていたことを証明する書類です。

 病院で入院した場合には、病院から証明書を出してもらえばいいのですが、ホテル療養(宿泊療養)や自宅療養をした場合の書類はどうすればいいのでしょうか。

 保険会社によって多少違うこともあるのですが、一般的な場合をお話ししておきましょう。

◆自主隔離は保険金支払い対象外になってしまうことも…
 まずは療養期間が14日以内の場合には、「新型コロナウィルス感染症と診断されたことがわかる書類の写し」が必要となります。

 これは、保健所が発行する書類「就業制限通知書」や病院所定の陽性証明書などです。ただし、民間のPCR検査所で陽性と証明書がでたので自らの判断で自宅療養していたというだけでは認められないことも多いようです。

 期間が15日以上の場合には、先に紹介した「新型コロナウィルス感染症と診断されたことがわかる書類」だけでなく、「療養期間がわかる書類の写し」も必要となります。これは、保健所や療養施設(ホテル)などが発行したものとなります。

 これらの書類が提出できない場合も、保健所などから、新型コロナウィルス感染症専用の宿泊・自宅療養証明書を提出すれば、保険金の支払いが認められる場合があります。

(編集部注:保健所等が発行する書類以外にも、厚労省コロナ感染者等状況把握・管理システム「My HER-SYS(マイハーシス)」から「療養証明書」を表示・キャプチャして使用することもできます)

 この夏の第7波では、保健所や医療機関に連絡を取ってもなかなか通じません。症状もそれほど強くないからか、抗原キットやPCR検査の結果だけで自ら自主隔離し、ドラッグストアなどで買ってきた解熱剤で感染症と戦う人も増えたようです。

 しかし、勝手に自ら判断し、自ら自主隔離し、自ら回復して復帰する。それでは、新型コロナウィルスに感染し療養したことの証明にはならないことも多く、保険金の支払い対象から外れてしまうことも少なくありません。

◆後悔のないよう、記録に残しつつ闘病を
 日本では男性の70%ほど、女性では約75%が民間の医療保険に加入しています。

 いざという時にお金をもらうために、毎月保険料を支払っているのです。

 コロナにかかって苦しい思いをするのは自らの身体だけで十分です。お財布まで苦しい思いをする必要はありません。

 どうか、民間の医療保険に入っている人は、あとできちんと保険金が出るように、すべてを自分で収めるのではなく、きちんと保健所やリモートでも医療機関の受診を受け、新型コロナに感染していることを記録に残しつつ闘ってほしいと思います。

 例えば、30代までの若い方などは、ネットから陽性者登録センターなどにきちんと登録することなど、新型コロナウィルスのために自宅療養したことを公的な記録として残していくことが必要だと思います。

 自ら請求しないと民間の生命保険の保険金は1円ももらえません。どうか、きちんと調べていただいて、あとで後悔しないようにしてください。

<文/佐藤治彦>
【佐藤治彦】経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』など多数 twitter:@SatoHaruhiko