「人生、山あり谷あり」ということわざもあるように、浮き沈みがあるのが人生というもの。恋愛や仕事、人間関係…何がきっかけで良い方向にいったり、悪いことが起きたりするかはわからないものですよね。今回は実録シリーズ「人生の転機、上がったり下がったり」から、過去の人気記事を再録します(初公開2018年4月5日、情報は掲載当時のものです)。
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売り上げの落ち込みなどによる閉店リスクの高いアパレルや飲食店。いずれも女性が多い職場で、契約社員やパートなどの非正規雇用の従業員は閉店に伴い、職を失うケースも珍しくありません。
九州出身の内田汐里さん(32歳・仮名・福祉関連会社社員)は、3年前まで都内のアパレルショップで契約社員として勤務。同時に不定期ながらスタイリストのアシスタントとしても働いていました。
ところが、業績悪化によるショップの閉店が決まり、契約社員だった彼女の更新も見送られてしまったそうです。
30歳目前で失業と失恋のWパンチでどん底に……
実は、彼女はもともと地元の老人ホームに勤めていましたが、アパレル業界への憧れが捨てきれず、仕事を辞めてファッション系の専門学校に進学。卒業後、その夢を叶えることができましたが、ショップは正社員への登用制度がありながら叶わなかったこと、さらに30歳目前という年齢的な焦りもあって、地元に戻ることを決めたといいます。
「地元はおばちゃん相手の洋品店がある程度で、アパレル系の仕事に就くことは考えていませんでした。でも、地方なので求人の数も限られていたこともあり、再び老人ホームで働くことにしたんです」

入居者に私服のコーディネートを頼まれて…
スタイリングしてあげたおばあちゃんからは、「30歳若返ったみたい!」と喜ばれ、ほかの入居者からも頼まれるようなったそうです。

そこで入居者のみなさんと隣町にある大型ショッピングセンターやユニクロなどに出かけて一緒に買い物をしたり、私自身ネイリストの資格も持っているので仕事の合間に塗ってあげたりしていました。みなさんすごく生き生きとしていて、その手助けができるのがすごく嬉しかったです」
わずか3年で非正規雇用から本社の管理職に!給料が倍増

失意の地元出戻りのはずだったのに、ここまで好転するとは彼女も想像がつかなかったといいます。
「こんなことならずっとホームで働いていればよかったと思うこともありましたが、東京での7年間はムダじゃなかった。クビになったのは残念ですけど、そこで過ごした日々はいい思い出として残っています」
一見、役にも立たなそうな前職の経験ですが、彼女のように異業種で生かしたのはまさに好例。キャリアを生かすも殺すも結局は自分次第なのかもしれません。
―シリーズ「シリーズ「人生の転機、上がったり下がったり」」―
<TEXT/トシタカマサ ILLUSTRATION/ただりえこ>
【トシタカマサ】
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。