今年も『現代用語の基礎知識選 2022ユーキャン新語・流行語大賞』の季節がやってきました。例年通り30語がノミネートされましたが、“こんなの知らないよ”というワードがけっこうありますねぇ。
そこで去年に続き今年も30代40代の女性にアンケートを実施(※)。もっとも認知度の低い言葉はどれだったでしょう?
さっそくランキングを見てみましょう。まずはそこそこ知られていた30〜21位。
知られているのは国葬儀、ヤクルト1000、オミクロン株
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新語流行語大賞ノミネート30語のうち知らないのはどれ?(複数回答)
30位 国葬儀 6.5%
28位 ヤクルト1000 8%
28位 オミクロン株 8%
27位 SPY×FAMILY 9%
26位 BIGBOSS 9.5%
25位 宗教2世 11.5%
23位 スマホショルダー 12%
23位 知らんけど 12%
22位 メタバース 16%
21位 きつねダンス 19.5%
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まず30位の「国葬儀」は、選挙演説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元総理の葬儀をあらわす言葉。連日ニュースでその是非が議論され、世論を二分しました。でもお葬式が流行語にノミネートってのはどうなの!?
27位の「SPY×FAMILY」は人気アニメ(原作は遠藤達哉による漫画)。スパイの男と殺し屋の女、そして超能力を持つ少女による“仮の”家族の物語。Official髭男dismと星野源がテーマソングを担当したことも話題になりました。

23位の「知らんけど」は、主にZ世代の間で流行した関西弁の一種。会話の中で、“明日は雨かもな。知らんけど”とか“多分大丈夫じゃね。知らんけど”といった感じで、発言に対して責任は持てませんよというニュアンスを軽く伝えるフレーズなのだそうです。知らんけど。
さすがにこのあたりはネットニュースや情報番組の頻出ワードで、認知度は高かったようです。続いてちょっと怪しくなってくる20〜11位。
「大谷ルール」「令和の怪物」野球用語にぽか〜ん
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20位 キーウ 20%
19位 令和の怪物 23.5%
18位 オーディオブック 24.5%
17位 #ちむどんどん反省会 26%
16位 悪い円安 29.5%
14位 てまえどり 30%
14位 こども家庭庁 30%
13位 インボイス制度 31%
12位 丁寧な説明 31.5%
11位 大谷ルール 32%
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19位「令和の怪物」と11位「大谷ルール」はどちらも野球の流行語です。
「令和の怪物」は、4月10日のオリックス戦で完全試合を達成した千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手のニックネーム。すごいピッチャーなので怪物と呼ばれています。
「大谷ルール」は、大谷選手の存在が大リーグのルールを変えてしまったことから生まれました。ピッチャーとして出場するときも、打者に専念する「DH」で試合に出られる特例を作ってしまったのですね。野球に興味のない人は“ぽか〜ん”なのも仕方ないか。
17位の「#ちむどんどん反省会」は、主にSNSでバズったハッシュタグ。朝ドラ『ちむどんどん』の脚本や演技に対して納得のいかない人たちによる批判が、毎朝盛り上がっていました。

12位の「丁寧な説明」は岸田総理の口ぐせ。ほとんどあいさつみたいなもんですね。新しくもないし流行ってもない。
ランキングもこのあたりになると、流行ったかどうか怪しいワードがちょくちょく出てきますね。選考委員の苦悩がうかがえます。
では、そろそろ本当に知らないワードが出てくる10〜4位をどうぞ。
なかやまきんに君ナシで「ヤー!パワー!」だけだと分からない
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10位 ヤー!パワー! 33%
9位 村神様 33.5%
8位 顔パンツ 35.5%
7位 ヌン活 36%
6位 青春って、すごく密なので 40.5%
5位 ルッキズム 44%
4位 ガチ中華 46%
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あー、もう全然わかんない! 10位の「ヤー!パワー!」はなかやまきんに君のあれです。でもこれを活字にしたらわからないよなぁ。
8位の「顔パンツ」は、若者がマスクを下着のパンツのように捉えていることを表している言葉。マスク着用が当たり前になったので、いざ外していいとなっても恥ずかしい。それはマスクが下着のような存在だからだ、と。初耳です…。
7位の「ヌン活」は、アフタヌーンティーのこと。“女性がヌン活に殺到”なんて記事やテレビ番組もありましたが、今回のアンケート結果によると残念ながら女性に浸透していないようです。

というわけで、毎年ノミネートの数を揃えなければならない苦しみが伝わってくる上位ランキングでした。
そして、今年全く流行ってないワード、ベスト3はこれだ!
3位 リスキリング 51.5%

2位 OBN(オールド・ボーイズ・ネットワーク)54.5%

でもせっかく“おっさん”っていう日本語があるんだから、そっちで新語作ったほうがいいような気がしますけど。どうでしょう?
1位 インティマシー・コーディネーター 58.5%

過激なシーンを撮影したことで精神的苦痛を受けたという俳優が少なくないことから生まれたムーブメントが、この職業が注目されつつある背景に存在しているよう。今後日本でも重要な存在になるはずです。これを機に認知されるよう願いましょう。
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オリンピック一色だった昨年とは打って変わって、今年は多様化する社会を反映したワードが多く選出されている印象を受けました。それゆえ、誰もが知っている流行語という形態も年々難しくなっているような気がします。
色々な意味で時代の変わり目を感じるランキングでした。トップ10と大賞の発表は12月1日に発表です。
【調査概要】
調査方法:アイブリッジ(株)提供の「リサーチプラス」モニター(30〜40代女性)に対してアンケートを行い、その結果を集計したものです。
調査期間:2022年11月29日
有効回答者数:30〜40代女性200人
<文/沢渡風太>
【沢渡風太】
『女子SPA!』『日刊SPA!』で芸能記事を執筆するTVウォッチャー。日本亭のCMが狂おしいほど好き。Twitter⇒@hootersawatari