馬場ふみか演じる専業主婦が、モラハラ夫(野村周平)を社会的に抹殺しようと計画するドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系、火曜深夜0時30分〜)。話題のドラマを、夫婦関係について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。
おまえがクズだから教育してやってるんだ
両親を学生時代に事故で亡くしている茜には、帰る場所がない。それを見越していじめたり嫌がらせをしたりする夫や義父母の話はときどき耳にする。
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— ドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法」🔪2/7深夜24:30放送【公式】 (@tx_otosatsu) January 31, 2023
#オトサツ
今夜0:30 第4話放送
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大輔、義父母とのやりとりに疲弊する茜。そんな茜を義姉や大輔の会社の長澤は気遣ってくれるが…。#馬場ふみか #野村周平 #渡辺いっけい #宮崎美子 #持田将史 #森カンナ #夫を社会的に抹殺する5つの方法 pic.twitter.com/GxcG2vNrjh
「おまえがクズだから教育してやってるんだ」
「本当に何も教わってこなかったのね」
そういう言葉は、まさにモラハラ。だが言っているほうは、案外、本気でそう思っているから怖い。
それにしても野村周平のDV夫ぶりはなかなか真に迫っている。暴言を浴びた馬場ふみかも、体が硬直して呼吸が浅くなる芝居がうまい。
「仮面さん」から届いた、夫を社会的に抹殺する方法の3つめは「良好な友好関係を破壊する」だった。大輔が過去におこなったいじめ現場の動画を拡散することで、茜はひそかに溜飲(りゅういん)を下げる。
妻の手料理を「いらない」とゴミ箱に捨てる夫
思い出しただけでつらくなると言いながら、カホさん(39歳・仮名)はそう話してくれた。29歳のときに職場の先輩と結婚。共働きを続けながら、家事はほぼワンオペ状態だった。それでも夫に喜んでもらおうと、料理本を見ながらがんばって作った。

翌日こそはとがんばっても同じことの繰り返し。そうこうしているうちに、ある週末、義母が大量の食材を抱えてやってきた。またたく間に料理が何品もできあがっていく。夫はそれを見ながらダイニングのテーブルでビールを飲み始めた。義母は息子の目の前に、これでもかと料理を並べた。
息子が倒れたらあなたのせいですからね
ところが義母の料理、カホさんにはそれほどおいしいと思えなかったという。味つけが濃く、出汁もほとんどきいていない。

味が濃ければいいのだろうと、それからは少し濃くしてみたが、やはり夫からは「仕事辞めて、おふくろに弟子入りしろよ」と言われる始末だった。
妊娠した妻に「うっとうしいなあ。実家に帰れば?」と夫

うちは両親が離婚していて私は母に引き取られたんですが、その母も10年前に再婚して遠方にいる。しかも母の再婚相手と私はあまり折り合いがよくない。それを知っていて、そういう言い方をする夫を軽蔑しました」
夫の暴言や義母の態度をひそかに録画、メモもとっていた
「夫のためにならない妻は、いるだけムダねと義母が言い、夫もヘラヘラ笑ってる。つわりを乗り越えて無事に出産したら、絶対に離婚しようと心に誓いました」

「夫の実家は小さいながら会社を経営していて、夫はいずれ今の会社を辞めて家業の社長になることが決まっていた。だから跡取りを産んでほしかったんでしょうけど、私は女の子でホッとしました」
サイン済みの離婚届を置いて家を出た
「会社では違うフロアだったのでめったに会わないけど、たまに顔を合わせても知らん顔されました。離婚に関しても反応なしだったので、調停を申し立てたんです」

「友人たちが協力してくれて、夫の非道なおこないが社内でも噂になって。夫は離婚成立前に退職しました。退職する日にたまたま社内で出くわしてしまったんですが、夫は『おまえに会ったのがオレの不幸だった』と。近くでそれを聞いた同僚が『いいかげんにしろよ、かっこ悪いぞ』と言うほどでした」
今は、復讐よりも優先したいことがある
「夫は全然子どもに興味がないんでしょうね。会いたいとも言ってきません。そんな人からお金だけもらったってしかたがないと思っています」
復讐してやりたい気持ちはある。夫を社会的に抹殺したい、義父母も一緒にとは思う。だが、今は「娘との生活を大事にすることが最優先」と割り切っているとカホさんはつぶやいた。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio