人気特撮作品『仮面ライダー』シリーズ(テレビ朝日系)は、若手イケメン俳優の登竜門となって久しいですが、ブレイクしてから役者人生はさまざまです。

ドラマ批評の連載を持ち、年間約100本のドラマコラムを執筆する筆者が考察させていただきます。

平成の伝説はオダギリジョーから始まった



まずはおさらいをしておきましょう。

『仮面ライダー』シリーズは、『仮面ライダークウガ』(2000年)から「平成ライダー」と呼ばれ、現在は「令和ライダー」に引き継がれていますが、『クウガ』で主演したオダギリジョーさんが人気俳優となったのを皮切りに、数多くの若手俳優の出世作に。

2000年代だけでも、『仮面ライダーカブト』(2006年)主演の水嶋ヒロさん、『仮面ライダー電王』(2007年)主演の佐藤健さん、『仮面ライダーキバ』(2008年)主演の瀬戸康史さん、『仮面ライダーW(ダブル)』(2009年)主演の菅田将暉さん、桐山漣さんなどを続々と輩出していたのです。

2010年代もブレイクする俳優が続々登場



また、2010年代も『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)主演の福士蒼汰さん、『仮面ライダードライブ』(2014年)主演の竹内涼真さん、『仮面ライダーゼロワン』(2019年)主演の高橋文哉さんなど主人公ライダーを演じた俳優がブレイクしていったのはもちろん、それだけにとどまりません。

主役ではない仲間のヒーロー、いわゆる2号ライダー、3号ライダーを演じた役者も人気者になっていきます。

『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)に出演の吉沢亮さん、『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(2013年)に出演の高杉真宙さん、『仮面ライダーゴースト』(2015年)に出演の磯村勇斗さん、『仮面ライダービルド』(2017年)に出演の赤楚衛二さん、『仮面ライダージオウ』(2018年)に出演の渡邊圭祐さんなどです。



佐藤健、菅田将暉、吉沢亮は大躍進



佐藤健さん、菅田将暉さんはブレイク後も数多くのヒット作を持ち、今なお人気も実力も認められているものの、さすがにここまで躍進しているケースはまれ。

佐藤さんは2012年に公開された『るろうに剣心』での緋村剣心役が当たり役に。人気漫画作品の実写化という高いハードルを越え、2021年のシリーズ完結まで見事に演じ抜きました。菅田さんは、2022年の主演連ドラ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の劇場版が昨年公開され、興行収入40億円超の大ヒット。

『仮面ライダーフォーゼ』で2号ライダーを演じた吉沢亮さんは、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』に主演し、映画『キングダム』シリーズ(2019年〜)や『東京リベンジャーズ』(2021年〜)には、キーパーソンとなる超人気キャラ役で出演して絶好調。

この3人は現時点で最も出世を果たしたライダー出身俳優といえるでしょう。

人気絶頂の赤楚衛二や高橋文哉も安泰ではない

昨年は赤楚衛二さんが『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)に主演し、高橋文哉さんが『フェルマーの料理』(TBS系)に主演するなど、2010年代後半の『仮面ライダー』に出演した彼らはまだまだ人気絶頂期。ブレイクしてからさほど期間が経っていないこともあり、勢いは衰えていません。

とはいえ、今をときめく赤楚さんや高橋さんも決して安泰とは言えないのです。むしろ今こそが正念場であり、佐藤さん、菅田さん、吉沢さんのように、さらにもうワンランク上のステージに上がれるかどうかの分水嶺に立っているのではないでしょうか。

いくら『仮面ライダー』シリーズが出世コースであっても、大成しない俳優のほうが当然多い。しかし、一過性の人気に終わらず、役者として10年、20年と第一線で活躍していけるかどうかは、またさらにハードルが高いということなのでしょう。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。