どれだけ家計が苦しくても、我が子には不自由のない暮らしをさせてあげたいと思うのが親心。物価高が叫ばれる今、自分が自由に使えるお金を削り、家計の足しにしている方も多いのではないでしょうか。

 しかし、安藤靖子さん(仮名・39歳)の夫・勝悟さんは我が子よりも自分優先。実家へ帰省した際、靖子さんは夫のケチすぎる一面を知り、ドン引きしました。

出産後に夫が転職して月給が激減!

 ※写真はイメージです(以下同) 靖子さんらは、10年前に結婚。息子2人が生まれてから、勝悟さんは職場の人間関係に悩み、転職。35万円ほどあった月収は、21万円程度に激減しました。

「夫は家族が生活できるかどうかより、自分が楽に転職できることを優先し、新しい仕事を選びました。その月給では家計が苦しいから考え直してほしいと何度も言いましたが、聞いてもらえませんでした」

 案の定、転職後の家計は火の車。靖子さんはパートを辞め、契約社員として工場で働くようになりました。

 しかし、それを機に勝悟さんは「食費と日用品にかかるお金は、そっちで出してほしい」と要求。靖子さんは言い争いをしたくないと思い、渋々受け入れることに。

「夫はこれまで通り、光熱費や夫婦で加入している生命保険の保険料は支払うと言いました。フェアなのか分からなかったけれど、ひとまず受け入れることにしたんです」

妻の財布を当てにして買い物をするケチ夫

ケチ夫 ところが、靖子さんが食費を払うようになると、勝悟さんの態度に変化が。一緒に買い物へ行くと、今まで買わなかったお菓子やジュースなどを購入するようになったのです。

「子どもの分じゃなくて、自分の分。今までは自分の財布から食費を払っていたので、我慢していたんでしょうね」

 見かねた靖子さんは「あなたの分は、自分で買って」と反発。しかし、勝悟さんは「財布を忘れたから払えない」と、頑なにお金を出そうとしませんでした。

 勝悟さんの“財布忘れた作戦”はその後も何度か行われたそう。結局、靖子さんは勝悟さんと一緒に買い物へ行かないようにし、無駄な出費を抑えるようになりました。

「でも、それまでは毎週末、家族で買い出しに行っていたので子どもたちが不安そうでした。『パパと喧嘩したの? 離婚しちゃうの?』と聞かれると、複雑な気持ちになってしまって……」

 また、子どもの制服代や遠足で使う水筒などといったお金も勝悟さんは出し渋るように。必要な金額を伝えても「俺、金ないから無理」と、靖子さんが出すことが当然かのように突き放し、すぐに自室へこもってしまうのです。

「そのくせ、自分の趣味にはお金をかけてる。お金はあるけれど、家族のためには使ってくれないんです」



子どもが貰ったお小遣いをねだる夫

 そんな夫のケチっぷりに心底、嫌気がさしたのは靖子さんの実家に家族で帰省した時のこと。靖子さんのお母さんは久しぶりに孫と会えたことを喜び、子どもたちにお小遣いをくれました。

 ポチ袋の中には、小さく折りたたまれた3000円が。それを見た勝悟さんは「なくさないようにパパが預かっておいてあげる」と子どもたちのお小遣いを強奪。子どもたちが「自分の財布に入れたい」と言っても、聞き入れませんでした。

「押し問答の末、子どもたちは泣いてしまいました。なんで、子どもを泣かせてまでも自分の思い通りにしたいのかなと呆れました」

 結局、お小遣いは「ママになら預けてもいい」という子どもたちの想いを尊重し、靖子さんが一旦、預かることに。すると、その日の夜、勝悟さんは信じられない言葉を口にしました。なんと、子どもたちがいない隙を見計らって、靖子さんに「あのお小遣い、俺にちょうだい」と言ってきたのです。

夫のがめつさに辟易し……

ケチ夫 なぜ、あなたにあげなければならないのか。靖子さんがそう尋ねると、勝悟さんは「修学旅行の時、息子に時計代として2000円使ったし、この前、お菓子も買ってあげた。全部合わせると、6000円くらいになってるはず」と、訳の分からない理由を並べ立ててきました。

 この人は私のお金を当てにするだけじゃなくて、子どもがもらったお小遣いまで、自分のものにしようとするのか……。驚いた靖子さんは「だったら、私はこれまでに日用品の購入や食費で、あなた以上に子どものためにお金を払ってるよ」と反抗。それを聞いた勝悟さんは不満そうな顔をし、「じゃあ、いいよ」とその場を去っていきました。

「このやりとりもあって、帰りの車内はお通夜みたいに静かで……。夫がこんなにも、がめつい人だとは思わなかったので、これからも子どものお金は注意しながら管理しないといけないなと思いました」

 もはや夫は一緒に子育てを頑張る相手ではなく、子どものお金を狙う泥棒みたい。そう話す靖子さんは正社員の仕事を見つけてから、夫に離婚を切り出そうか悩み中。自身もお子さんも、安心できるような生活を早く手に入れてほしいものです。

<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291