結婚が当たり前ではなくなった現代。だからこそ婚活市場のシビアさは加速し続けるのかもしれません。スペックや条件で相手を選定しがちな婚活では、男女ともに、とかく理想の高い相手を求めがちだからです。

数日前、あるアラフィフ独身男性が、パートナー探しをする上で相手女性に求める“条件”をXに投稿し、ネット上で賛否両論が噴出しました。この男性なりに背景があっての条件なのだと思いますが、反応は男女でかなり差があったのです。

 画像はイメージです(以下同)

「子どもを産める年齢の女性」という結婚条件

発端となったのは、47歳バツイチ独身男性のとある投稿でした。この方は実際には婚活をしているわけではないため「今後パートナー探しをする場合」と仮定。その上で、自身のスペックと相手女性の必須条件を細かく提示して「これは高望みでしょうか?」と意見を求めていました。

投稿によると、男性は47歳の個人投資家で、お子さんと同居。給与54万円、不動産収入500万円とその他投資での収入、持ち家もあるそう。自身と結婚するメリットとして「料理以外の家事育児が可能」など、いくつかを挙げています。

そして相手女性に求める必須条件として、「子どもが産める年齢、働いている(最低年収300万円)、太っていない(BMI25以下)」などを列挙。容姿、年齢、性格、年収、生活習慣など、かなり細かく言及していました。

「高望み」だという女性、「見つかる」という男性

このポストが投稿されると、女性と思われるアカウントからは「高望みすぎるのでは?」と疑問や批判が殺到。「このスペックに合うのは、生活が苦しい女性や、永住権を得たい外国人だと思う」、「大抵の女性は、47歳年収1200万より28歳年収400万を選ぶ」といったポストが数多く見受けられました。

一方で男性アカウントと思われる人たちからは、「専業主婦希望の女性ならありえそう」、「出産や仕事復帰の条件を付けなければすぐ見つかると思う」といった、まずまずな反応も散見されました。年齢について言及している男性はあまりおらず、中高年になっても若い女性を求めることは、男性の間では“普通”なのかもしれません。



高齢男性でも“若い嫁”が来ると思っているバグ

一般に、アラフィフ男性が「子どもが産める年齢」という条件を出す場合、自分よりも10歳以上年下の女性を求めているはず。ヘタしたら20歳以上も年下の20代を想定しているのかもしれません。

親の介護がないとしても、将来、本人の介護が必要になる可能性は高いでしょう。女性は出産というタイムリミットがあるのに対して、男性は自分が高年齢であるデメリットをあまり考えないリアルな状況が見えてきます。

結婚式の新郎新婦婚活コンサルタントでマッチングの現場を長年見てきた菊乃さんは、「還暦近い男性が『子どもを産める年齢の女性』を希望したり、 年収300万円台40代で誰ともマッチングしない男性が『30代の女性希望』と言ったりする、メタ認知がバグっているケースが多々ある」と指摘します。

つまり、投稿した男性のような人は婚活市場ではまったく珍しくない。けれど、実際にマッチングが成功するケースは非常に少ないそうです。それでもなお男性が自身のスペックをフル無視しながら当然のように若い女性を求めるのは、「昭和の価値観を引きずっていることが原因」だと菊乃さんは話します。

今や、一番多いのは「同い年で結婚」

「初婚夫婦の年齢差はどんどん縮小していて、いまや同い年夫婦の割合が22.3%と最も多いのです(厚生労働省「人口動態統計」2022年)。でも昭和時代は男性が年上の夫婦が多かったので、昭和生まれにとって“年下妻”が当たり前なのでしょう。

また昭和の価値観では、“モテる男性の条件”として年収を挙げる男性は多いです。年収が高ければ、若い女性と結婚できると勘違いしている。男女問わず、ご自身の思う『異性が重視するポイント』は実際と乖離しているケースは多いです」(菊乃さん)

結婚と年齢1970年→2022年の初婚夫婦を比べると、「夫婦同年齢」は10.1%→22.3%に倍増、「妻が年上」も10.3%→24.3%に増えています。

また、2022年で約72%は「年齢差3歳以内」におさまっています。「ずっと年下の女性と結婚」はレアケースなのです(人口動態統計)。



芸能人の年の差婚を見て「俺もイケる」と思いがち

このほかに、10歳以上若い女性と結婚した芸能人のニュースを見て、「俺もイケる」と思ってしまうことも誤解の背景にあるそう(珍しいからニュースになるわけですが)。さらには、若い女性と付き合うノウハウを発信するナンパ師などネットの情報を鵜呑みにしてしまうことも。

結婚に対して焦りを見せないまた現実的な条件ではなく、理想的な夢をそのまま条件に書いてしまうケースもあるそうです。婚活市場では、比較検討によって市場原理が働くもの。ところが、「自分も選ばれる側であるという意識が抜け落ちて、カタログを見て注文する感覚で希望条件を挙げる人は多い」と菊乃さんは語ります。

47歳・年収1200万円の男性なら、成婚の相場は41歳女性

冒頭の“炎上”で、X上では「大抵の女性は、47歳年収1200万より28歳年収400万を選ぶ」というポストが賛同を得ていました。昭和時代なら、だいぶ年上でも年収の高い男性は若い女性と結婚できたかもしれません。しかし現代では、年収以上に、年齢の近さを重視する婚活女性が多いと、菊乃さんは言います。

婚活する女性のボリュームゾーンはアラサーで、アラサー男性を選ぶ傾向にあるそう。相手男性の条件として高年収を求める婚活女性は多いですが、実際に成婚できる女性は、年収で妥協しても、自分と同じ世代の男性を選んでいるのでしょう。

また、『成婚白書 2023年度版』(※)のデータによると、男性の年収が高いほど、若い女性と成婚できているのは事実。とはいえ、「男性の年収が1200万円なら、成婚相手の年齢は−5.4歳」というデータがあります。つまり、47歳・年収1200万円の男性であれば、41歳前後の女性が現実的ということです。

結婚と年収※婚活サービスの(株)IBJが1万人超の成婚会員データを分析した白書



現実を知らない「高望み」

そして、成婚するには希望条件よりも相手への態度がカギだそうです。

「例えば男性がアラフィフで子持ちなら、5歳以上若い女性はすべてお姫様扱いし、『こんなおじさんに会ってくれてありがとう!』と低姿勢で接することが大事ではないでしょうか」(菊乃さん)

以上のことを総合すると、結婚はやっぱり年相応。「高望み」して若い女性に執着している男性がいたら、「現実を知らないのね…」と眺めておけばいいでしょう。

【菊乃さん】

恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。著書『あなたの「そこ」がもったいない。』他4冊、女子SPA!でも連載中。Twitter:@koakumamt

<取材・文/エタノール純子>

【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中