昨年行なわれたF1ポルトガルGPのフリー走行において、レッドブルのマックス・フェルスタッペンはランス・ストロールに対して差別的な言葉を浴びせ非難を受けた。この一連を騒動を引き合いに出した運動が、慈善団体によって展開されるようだ。

 フェルスタッペンはポルトガルGPのFP2でストロールと接触した際、『retard』や『mongol』といった言葉でストロールを罵った。『retard』は知的障害者などを揶揄する言葉であり、『mongol』も“モンゴル人”という意味の他に、かつてはダウン症患者を揶揄するような意味でも使われていた単語であったため、フェルスタッペンは各方面から激しく非難され、慈善団体の『モンゴル・アイデンティティ』が公式に謝罪を求める事態にまで発展した。

 フェルスタッペンはその後、「誰かの気分を害する意図はなかった」と釈明したが、モンゴルの国連大使であるルンデグ・プレブスレンはFIAに書面を送り、フェルスタッペンの人種差別的で軽蔑的な言葉遣いに関してより厳しいスタンスを取るよう求めた。

 来たる1月24日(日)は『教育の国際デー』となっているが、モンゴル・アイデンティティはこれに合わせ、辞書の出版社に“モンゴル”という単語の辞書的意味を再定義し、明確にするよう求める運動を行なうことを発表した。

 “モンゴル”という単語はモンゴル国を指す言葉であると同時に、伝統的にモンゴル民族を指す言葉としても使われてきた。そして19世紀には、ダウン症を発見した医師であるジョン・ラングドン・ダウンが論文の中で、ダウン症はモンゴル民族特有の疾患だと指摘。その影響もあってダウン症患者が“モンゴロイド”と呼ばれるようになった。

 その後、ダウン症の本当の原因は21番染色体が通常よりも1本多く存在することにあると判明し、ダウンは後に自らが提唱した理論を撤回したが、世界保健機関(WHO)では1965年まで“モンゴロイド”という単語が使用されていた。

 “モンゴロイド”という言葉は今や非常に攻撃性の強いものとみなされているが、現在でも蔑称として使われ続けている。

 モンゴル・アイデンティティは声明の中で次のように述べている。

「F1ドライバーのマックス・フェルスタッペンがライバル選手を“モンゴル”と呼んだことにより、論争が巻き起こった」

「その後のソーシャルメディアでの反応を見ていると、多くの人はモンゴルという単語を使うことがなぜ攻撃的なのかを知らず、『馬鹿』と変わらないようなニュアンスだと解釈していたことが分かった。そのような言葉で侮辱することが非常に人種差別的であることを認識している人はほとんどいなかったのだ」

「しかしマックス・フェルスタッペンがコメントをした時、多くの人たちがソーシャルメディアに『辞書によると、モンゴルという言葉は“ダウン症の人”という意味もあるらしい』と書き込んだ」

「モンゴル・アイデンティティは辞書の出版社と協力して、辞書に記される定義が明確かつ完全なものとなることを目指している」

 モンゴル・アイデンティティのディレクターであるウガナ・ラムジーは、“モンゴル”という単語の蔑称としての使用を参照している辞書について、その必要性に疑問を投げかけ、記述を削除するよう求めている。

「私たちは、出版社が辞書における単語の意味の中に何を入れるか再検討してほしいと思っています」とラムジーは言う。

「例えば、その辞書が言語学習用のものである場合、“モンゴル”という言葉の意味の中に、その言葉がかつてダウン症を表していて、差別的で攻撃的な言葉であることを記す必要が本当にあるのでしょうか?」