現在のF1で大きなトピックのひとつとなっている“フレキシブルウイング”。高速走行中にウイングがわずかに後ろに倒れて空気抵抗を減らすというこのアイデアを、レッドブルが活用しているのではないかと第4戦スペインGPで話題になったのが騒動の発端だった。それを受けてFIAは、第7戦フランスGPからウイングの“たわみ”を取り締まる耐荷重検査の基準を強化することを決定したため、先日行なわれたアゼルバイジャンGPは、従来の基準のウイングを使用できる最後のチャンスであった。

 ある意味アゼルバイジャンGPは、フレキシブルウイングが厳しく取り締まられるようになるまでの“空白期間”と言えた。これに不快感を示していたメルセデスやマクラーレンは、アゼルバイジャンGPで渦中のウイングを使うチームがいれば、抗議することも辞さない姿勢を見せていた。しかし、結局抗議はされないまま今日を迎えている。

 というのも、レッドブルはアゼルバイジャンGPに新しいリヤウイングを持ち込んでいた。このウイングは、スペインGPで指摘されたような”変形”は確認できず、その結果として抗議を受けるのを避けられたのだった。

 レッドブルが持ち込んだ新デザインのリヤウイングは、メインプレーンの中央部がまるでスプーンのように大きく下に向けて湾曲しており、そこで必要なダウンフォース量を稼いでいる。メインプレーンの両端は、翼端板に近づくに連れて薄くなり、空気抵抗を削減。またメインプレーン上下の圧力差を小さくすることで、翼端渦(圧力の高い側から低い側に、渦のような形で気流が流れる現象/航空機の翼でよく見られる)の発生を抑えようとしている。

 これに伴ってレッドブルは翼端板のデザインにも変更を加え、よりシンプルなデザインに回帰。渦を発生させる切り欠きの形状が単純になり、気流を上向きに変えるためのストレーキが存在しないものとなった。(上図参照)

 上のイラストでは、アゼルバイジャン仕様のフラップの上部が、翼端板に向かうにつれてカットされているのが確認することができるだろう。この仕様のウイングは実際にバクーに持ち込まれたものの、走行セッションで実際に使われることはなかった。ただ、これはバクーと同じく高速セクションが存在するベルギーのスパで再びお目見えする可能性がある。

 またレッドブルは、フラップ上部にガーニーフラップを付けないことを選択した。これはつまり、ダウンフォースを増やすことよりも、空気抵抗を減らして直線スピードを上げることを優先したということだ。