サウジアラビアを舞台に開催されたフォーミュラEシーズン9の第3戦ディルイーヤePrixは、ポルシェのパスカル・ウェーレインが優勝した。

 ダブルヘッダーの2戦目となるこの第3戦。予選では、マクラーレンのジェイク・ヒューズがジャガーのミッチ・エバンスを下し、チームに初ポールポジションをもたらした。日産のパワートレインを搭載するマクラーレンは、レネ・ラストも3番グリッドを獲得している。日産はサッシャ・フェネストラズが12番手、ノーマン・ナトーが19番手だ。

 39周のレースは、クリーンにスタート。上手く加速しインに飛び込んだエバンスが首位に浮上した。隊列は数珠つなぎのまま、虎視眈々と各車がチャンスを伺った。

 エバンスは上位陣では真っ先にアタックモードを起動。これにマクラーレン勢も反応してアタックモードに入った。ヒューズがエバンスの先行を許した一方でラストはエバンスの前に残ることに成功した。

 不気味なのは、3台のバトルを後ろからじっくりと見守っていたウェーレイン。5番手スタートの第2戦ウイナーは、アタックモードを終えたヒューズ、エバンスを続けざまにパス。エネルギーも上手く節約しながら2番手に浮上した。

 一気に3秒ほどのリードを築いていた首位ラストだったが、ウェーレインはアタックモードで一気に接近。ラストは背後に追いつかれたタイミングで2回目のアタックモードに入って逆転を狙ったが、ウェーレインは逆にリードを広げる盤石の走りを見せた。

 レース中盤に元気が良かったのは、アンドレッティのジェイク・デニス。ペースが落ちてきたマクラーレン勢やエバンスをアタックモードも使わず抜き去り2番手に立った。するとレースが3分の2を消化したところで、クラッシュした車両が出たことでセーフティカー出動。ウェーレインのリードはなくなり、アタックモードを3分間残しているデニスがすぐ背後に迫ることとなった。

 しかしウェーレインのペースは素晴らしく、デニスにオーバーテイクのチャンスすら与えず。終盤デニスを引き離したウェーレインは、エクストララップ1周を加えた40周のレースをトップで駆け抜けた。

 ウェーレインはこれで第2戦に続く勝利でフォーミュラEキャリア3勝目。開幕戦ウイナーであるデニスも第2戦に続き2位となり、ポルシェのパワートレインを使うこのふたりが3戦連続でトップ2を独占した形だ。

 3位は、サム・バード(ジャガー)の猛攻を抑えきったラスト。マクラーレンに初表彰台をもたらした。

 ポールポジションのヒューズはパワーを使い果たしたのか、フィニッシュの直前で失速しながらも5位でのチェッカーとなった。フェネストラズは8位。嬉しい初ポイント獲得となっている。