かつてコスワースやジャガーを通じてF1に関与していたフォードが、2026年にF1に帰ってくることが正式に発表された。

 フォードはF1の歴史の中で最も成功を収めたメーカーのひとつだ。コスワースに資金提供する形でF1への関与をスタート。一時、フェラーリ以外は全てコスワースのDFVエンジンを搭載していた時期もあるなど最強エンジンサプライヤーとなり、コンストラクターズチャンピオンシップを10回、ドライバーズチャンピオンシップを12回獲得している。

 2000年からは、エンジンを供給していたスチュワート・グランプリを買収し、ジャガー・レーシングとして2004年までF1ワークス参戦。その後、チームはレッドブルへと引き継がれている。

 今回の発表では、F1への再参戦計画について言及するのにとどまっており、どのチームと組むかについて詳細は明らかにされていない。

 しかしmotorsport.comが昨年12月に報じたように、フォードは何ヵ月も前からレッドブルと交渉を進めており、すでに契約が成立したと見られている。レッドブルはフォードのF1復帰発表と同日である2月3日に新車『RB19』を発表するが、その際にフォードとの提携も発表される可能性がある。

 レッドブルは2026年から独自のパワーユニット開発部門「レッドブル・パワートレインズ(RBPT)」でPUを開発・製造することとなっており、そのPUにバッジをつける、あるいは技術的な支援を行なう自動車メーカーのパートナーを求めていることを公言している。

 フォードのF1復帰について、エグゼクティブ・チェアマンのビル・フォードは次のように述べた。

「これは、私の曽祖父がレースで優勝したことから始まったフォードの、モータースポーツ・ストーリーのスリリングな新章の始まりだ」

「フォードはこのスポーツの頂点に戻り、フォードの伝統である革新性や、持続可能性や電動化の技術を世界で最も注目される舞台のひとつに持ち込むことになる」

 フォードはF1復帰を決める上で、リバティ・メディアがF1のオーナーとなって以来、特にアメリカでF1が成長していることや、次世代PUで電気が果たす役割が高まっていることが大きかったとしている。

 フォードのこの決断は、F1のステファノ・ドメニカリCEOからも歓迎されている。

「フォードが2026年からF1に参加するという今日のニュースは、このスポーツにとって素晴らしいものだ。我々はフォードが、すでにF1に参加している素晴らしい自動車関連パートナーに加わることを嬉しく思う」

「フォードはレースと市販車の世界で素晴らしい伝統を持つグローバルブランドであり、世界中で5億人以上のファンを持つ我々のプラットフォームが提供する大きな価値を理解している」

「2030年までにネット・ゼロ・カーボンを達成し、2026年からF1マシンに持続可能な燃料を導入するという我々のコミットメントも、彼らがF1参戦を決めた重要な理由だ」

「2026年からF1の象徴的なサーキットをフォードのロゴが走るのが待ち遠しい」

 FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムは、フォードの決断は2026年のPUレギュレーション変更を正当化するものだと考えている。

「フォードほどモータースポーツの歴史に名を残すメーカーは少ないので、彼らがFIAフォーミュラ1世界選手権に戻ってくることは素晴らしいニュースだ」

「持続可能性とスペクタクルの両方を重視した2026年のPUレギュレーションの成功が、さらに明確になった。そしてもちろん、アメリカからの関心が高まることは、世界トップのモータースポーツカテゴリーの継続的な成長にとって重要なことだ」