ヘレス・サーキットでMotoGP第4戦スペインGPの決勝レースが行なわれた。優勝したのは、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤだった。

 ヨーロッパラウンドの始まりを告げるスペインGP。土曜日のスプリントレースはブラッド・ビンダー(KTM)が制し、決勝レースへも自信を見せていた。

 ポールポジションを獲得したのは母国戦のアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)。2番手にはジャック・ミラー(KTM)、3番手にはホルヘ・マルティン(プラマック)が並んだ。

 サーキット周辺は若干の雲はありつつも青空が覗くコンディション。気温は28度、路面温度は33度だ。

 全24周のレースは、ミラーがホールショットを奪ってスタート。しかしターン2でファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)の転倒をきっかけにミゲル・オリベイラ(RNF)、マルコ・ベッツェッキ(VR46)も絡む多重クラッシュが発生。安全性の観点からレースはすぐに赤旗中断となった。

 2日目のスプリントレースと同じように、レースは当初のグリッド順で再スタートへ。クアルタラロとベッツェッキもグリッドに付くことができた。ただオリベイラはメディカルセンターへ運ばれた後、レース出場不適格とされたため、参加できなかった。なお審議の結果、クアルタラロにロングラップペナルティが科される事が決まった。

 リスタートでもKTM勢が先行。オープニングラップを終えた時点ではビンダー、ミラーそしてフランチェスコ・バニャイヤがトップ3を形成し、ポールシッターのエスパルガロは5番手まで後退してしまった。

 ビンダーとミラーが首位争いを繰り広げたが、2周目の最終コーナーでミラーが先頭に浮上。ただビンダーも引き離されるようなこともなく、4周目には再びビンダーがトップに戻っている。

 KTM同士で激しいバトルが繰り広げる間にバニャイヤが接近し、ミラーを追い抜いて2番手へ浮上。多少強引なオーバーテイクだったこともあり、ミラーは手振りで不満を示していた。

 このオーバーテイクに対し、レースディレクションは1ポジションダウンのペナルティを決定し、バニャイヤは8周目にペナルティを消化した。

 これで結果的に単独トップ走行となったビンダー。2番手集団との差は0.8秒ほどまで開いたため、少し余裕ができた形だ。

 ただ2番手のミラーは少しずつその差を削っていき、レース折り返しを過ぎた頃には0.3秒程にまで接近。ただそこからはこう着状態となった。

 そして残り9周、ミラーが大きくラインを外してしまうミスを犯してしまい、その間にバニャイヤのオーバーテイクを許して3番手に後退することになった。

 2番手となったバニャイヤは、残り6周からペースアップ。0.8秒程あったビンダーとの差を一気に詰め、残り5周で射程圏内に収めた。そして残り4周となったターン11でビンダーを抜き、ついに首位に立った。

 ただビンダーも諦めずにバニャイヤを猛追。上位2台は非常に僅差のまま、ラストラップに突入した。

 ビンダーは最終コーナーまでバニャイヤ攻略を狙うもそれは叶わず。結局バニャイヤが開幕戦以来となるシーズン2勝目を挙げた。2位はビンダー、3位はミラーでKTMはダブル表彰台となった。

 なおベッツェッキがレースを転倒ノーポイントで終えたこともあり、バニャイヤがランキング首位に返り咲いている。

 またKTMのテストライダーで今回ワイルドカード参戦しているダニ・ペドロサは、7位でシングルフィニッシュを果たした。日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は9位だった。