2023年のMotoGPでは、スチュワードによる裁定が度々論争に発展してきた。MotoGPフランスGPの金曜日に行なわれる安全委員会には、MotoGP参戦ライダーらとFIMのスチュワードが出席。この場で、裁定についての説明が行なわれる見通しであり、ライダーらはその理由が理解できることを期待している。

 フランスGPで第5戦目を迎える2023年のMotoGP。今季ここまでに下された裁定のいくつかは、大きな論争の的となってきた。特に注目すべきは、ポルトガルGPでマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)に科されたペナルティとその施行に関すること、そして先日のスペインGPでの数々の事件である。

 スペインGPでの出来事を受け、FIMのチーフスチュワードであり、ロードレース世界選手権500ccクラスで2度のチャンピオンに輝いた経験を持つフレディ・スペンサーは、フランスGPの金曜日にセーフティコミッションを開き、数年ぶりにライダーたちと直接会話し、今年これまでに何が起きたのかについて話し合う予定だという。

 2022年のMotoGP王者であるフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)は、スペインGPで強引なオーバーテイクがあったとして、1ポジション後退するよう指示されたが、この裁定には不服を表明していた。そのバニャイヤはmotorsport.comのインタビューに応じ、今回の会議でライダーたちがペナルティの裁定について、より深く理解できることを望んでいると語った。

「彼らの視点を知り、僕らの視点を共有できることを心から望んでいる」

 そうバニャイヤは語った。

「現時点では、個人的には彼らの見解を理解できていない。だから今回の会議は、良い一歩になる可能性がある」

 スペインGPで、ミゲル・オリベイラ(RNF)と接触したことでロングラップペナルティを受けたファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)は、その裁定について率直に次のように語った。

「彼らが、彼らの仕事をするのを期待しているだけだ」

 プラマックのヨハン・ザルコは、裁定が平等に下されていないと感じており、”人気に惑わされない”新しいスチュワードが必要だと示唆した。

「どうなるか見てみよう」

 そうザルコは語った。

「僕らは、彼らが下している裁定に同意していない。全てのライダーの間で、平等に裁定がなされていないようだと、常に言っているんだ」

「だからこそ、より平等になるために、ライダーの人気に左右されない、他のスチュワードを求めるだろう」

 アプリリアのマーベリック・ビニャーレスは、以前にその仕事をしたことがなければ、裁定のプロセスを批判するのは難しいと語り、スチュワードの言うことにただ耳を傾けるつもりだと語った。

「僕には自分の意見がある」

 そうビニャーレスは言う。

「僕はスチュワードの側にはなりたくない。特に、ひとつの行動について様々な見方をされる可能性があるからね。非常に複雑な仕事だと思う」

「とにかく、黙って話を聞くと。最終的には、それは彼らの仕事だ。僕らが要求できる唯一のことは、ペナルティが平等であることだと思う。しかし繰り返し言っておきたい。これは、とても大変な仕事だと思う。僕だったらやりたくないね。やったことがないので、細かいことは分からない。この仕事を理解するには、実際にやってみる必要があると思う」