スーパー耐久シリーズ第2戦、国内最長となる「富士SUPER TEC24時間レース」の決勝レースは、5月27〜28日に富士スピードウェイにおいて行なわれた。FIA GT3車両のST-Xクラス(全5台)は、24時間レースの残り30分を切った14時36分に逆転した中升 ROOKIE Racingの14号車中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也)が730周を走り切り初優勝を果たした。

 今年で6回目を迎えるS耐富士24時間で、4勝目を目指したGTNET Motorsportの819号車DAISHIN MPRacing GT-R GT3(JOE SHINDO/藤波清斗/青木孝行/大八木信行/坂口夏月)は2位。昨年大会優勝のHELM MOTORSPORTSの1号車HELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次/ヤン・マーデンボロー/ショーン・トン)は4位となった。

 今回のレースには8つのクラスに52台がエントリー。26日に行なわれた公式予選でポールポジションを獲得したのは1号車GT-Rで、これに14号車メルセデス、aprの31号車DENSO LEXUS RC F GT3(永井秀貴/小高一斗/嵯峨宏紀/永井秀貴/中山雄一/上村優太)、KCMGの202号車KCMG NSX GT3(ポール・イップ/エドアルド・リベラッティ/マーチー・リー/ホーピン・タン/ジョシュ・バードン)、819号車GT-Rが続いた。

 決勝レースは薄曇りの27日14時59分にスタート。最初にトップに飛び出したのは14号車メルセデスで、これに31号車RC F、1号車GT-Rが続いたが、31号車RC Fはエンジントラブルのためにトップ争いから脱落した。そして中盤からは819号車GT-Rがじわじわと順位を上げて来た。

 日が落ちるまではマシントラブルも大きなアクシデントも起きず進んだレースだったが、19時半を過ぎた頃にこのレース初めてのフルコースイエロー(FCY)となった。19時45分から花火が打ち上がっている最中にST-Zクラスの555号車REVISION AMG GT4がダンロップコーナー手前で激しくクラッシュ。これでセーフティカー(SC)導入となりレースが動き始めた。

 また、日付が変わる直前にはST-4クラスの884号車シェイドレーシング GR86から出火。これで2度目のSC導入となり、このタイミングで1号車GT-Rは義務付けられたメンテナンスタイムに入りブレーキ等の交換を済ませた。この間に14号車メルセデスがトップに立った。さらに1号車GT-Rは交換したブレーキローターが割れるトラブルのためにピットインして交換作業に入り順位を落とした。

 夜中の3時半に86号車TOM'S SPIRIT GR86がダンロップ コーナーで激しくクラッシュ。FCYから3回目のSCとなり、さらに赤旗が掲示されレースは5時まで中断となった。すっかり明るくなってレースは再開されたが、この時に14号車メルセデスはSCを追い越したとしてピットストップ60秒のペナルティ。これで819号車GT-Rがトップと同一周回となり、7時前には藤波がついにトップを奪った。

 レースはその後も819号車GT-Rがトップを守りそのまま逃げ切るかと思われたが、最後のドライバーはジェントルマンドライバーのSHINDO。2周近い差の2番手を走行していた14号車メルセデスのドライバーはプロドライバーの蒲生で、ここから蒲生が1周につき3秒ほど差を詰め、残り24分、718周目の100Rでついにトップが逆転。蒲生が46秒の差をつけて15時過ぎにトップチェッカーを受けた。メルセデスの優勝は一昨年大会以来2回目となった。3位は202号車NSXだった。

 GT4車両によるST-Zクラス(全10台)は、52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT4(山崎学/吉田広樹/服部尚貴/川合孝汰/野中誠太)が開幕戦に続き連勝。ST-1クラス(全2台)は序盤からトップを守った2号車シンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/吉本大樹/小林崇志/高橋一穂)が大会を3連覇し、総合でも5位でゴールした。ST-2クラス(全5台)は13号車ENDLESS GR YARIS(花里祐弥/石塚瑞基/伊藤黎明/岡田整)が昨年第5戦もてぎ以来の優勝を果たした。

 ST-3クラス(全5台)は最後の1時間でトップに立った38号車ヒグチロジスティクスサービスRC350 TWS(近藤説秀/石森聖生/鶴賀義幸/尾崎俊介/石塚崇宣)が初優勝を飾った。ST-4クラス(全7台)は60号車全薬工業G/MOTION’GR86(塩谷烈州/瀬戸貴臣/山本謙悟/ピストン西沢/窪田俊浩)がシリーズ連勝を決めた。

 最激戦区(全12台)のST-5クラスは、17号車DIXCELアラゴスタNOPROデミオ(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦/山本浩朗/上松淳一)が連覇した。開発車両によるST-Qクラス(全6台)は全車が完走。CNFを使用する230号車Nissan Z Racing Concept(平手晃平/佐々木大樹/高星明誠/松田次生)はST-Z相当の2位でゴール。世界初の液体水素燃料を使用した32号車ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康弘/ヤリマティ・ラトバラ)は予定された燃料タンクのポンプを2回交換する作業を行ない、24時間を走り切った。