フェラーリのカルロス・サインツJr.はホームレースであるF1スペインGPを2番グリッドからスタートしたが、フェラーリの弱点であるレースペースが今回も足を引っ張り、5位でレースを終えることになった。

 サインツJr.はスタートこそポールのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に並びかけたものの、オーバーテイクはならず。その後は徐々に引き離されてしまった。

 サインツJr.は18周を終えたところでの1回目のピットストップを行ない、ソフトタイヤからミディアムタイヤに履き替えた。しかしうまくソフトタイヤをマネジメントし、28周目にミディアムタイヤに交換したルイス・ハミルトン(メルセデス)にコース上でオーバーテイクを許してしまった。

 その後もレースペースが上がらなかったサインツJr.は最終的に5位フィニッシュ。トップ10以下からのスタートだったジョージ・ラッセル(メルセデス)やセルジオ・ペレス(レッドブル)にも、同じ2ストップ戦略で敗れてしまった。

 チームメイトのシャルル・ルクレールは、ピットレーンからのスタートだったとは言え、なかなか前に出ることができずに11位でのフィニッシュと、ポイント獲得すら逃した。

 サインツJr.は、今回のレースでフェラーリの弱点であるタイヤへの攻撃性が浮き彫りになったと話し、高速右コーナーが多く左フロントタイヤに厳しいコース特性が、この問題をさらに悪化させたと語った。

「正直なところ、レース中ずっとタイヤを労わっていた。このデグラデーションが大きいサーキットでタイヤを保たせるのは大変だと分かっていたし、プッシュすることができなかったんだ」

「僕たちは、それがこのクルマの弱点だと分かっている。デグラデーションが大きいサーキットだけど、2ストップ戦略でスティントの目標周回数を達成するために必死で走ったのに、それでもいくらか足りなかったんだ」

「高速コーナーが多くタイヤへの負担が大きいサーキットだと、僕たちのクルマの弱点が浮き彫りになってくるんだ」

「昨日(予選)はすごく良いラップをしたのに、またレースペースは戻ってしまった。そしておそらく、こういうコースは僕たちにとっては良くないんだ」

 フェラーリはスペインGPで、サイドポンツーンのコンセプト変更を含むアップデートを投入した。しかしこれは中低速域での改善とより扱いやすいマシンにすることを目的としたものであり、スペインGPでは効果を発揮しづらいとサインツJr.はレース前に語っていた。

 サインツJr.はアップデートを迅速に進めたチームを改めて称賛し、フェラーリがまだそれを活用できていないのは、2023年の中でもフェラーリにとって”最も苦手とするサーキット”に新パーツを持ち込んだからだと考えている。

 このアップデートが期待通りの効果を発揮したかどうかという質問に対して、彼は「判断するのは難しい」と答えた。

「アップデートを持ち込むために、ファクトリーで多大な努力がなされたことは分かっている。でもサーキットの特性的に、今季最も苦手とするサーキットにそれを持ち込んだんだ。だからまだベストの状態には至っていない」

「バウンシングや高速域での弱点があるので、こういうコースでは競争力を発揮できないと思っている」

「だからまだ判断するのには早すぎるんだ。みんなこのマシンを完成させるためにものすごい努力をしたと思う。だからファクトリーのみんなに脱帽だ。これからもプッシュと改善を続けよう」