メルセデスのルイス・ハミルトンは2024年に向けて、F1チームとそれを率いるトト・ウルフ代表に「大きなプレッシャー」がかかっていると語った。

 現行テクニカルレギュレーションの導入初年度となった2022年は1勝を挙げたものの、2023年は未勝利に終わったメルセデス。彼らは2024年のW15でマシンコンセプトを一新し、常勝軍団復活を目指している。

 ハミルトンは現行レギュレーション3年目を迎える2024年に、メルセデスが3度目の失敗を犯す余地はほとんどないと指摘する。そして、その事実がチームとチーム代表にプレッシャーとしてのしかかっていると示唆した。

 motorsport.comを含む一部メディアのインタビューに応じたハミルトンは、2024年マシンの競争力を確保するために重要なオフシーズンを前に、チーム全員がプレッシャーを感じていると語った。

 ウルフ代表がどれほどのプレッシャーにさらされているか、と尋ねられたハミルトンは、次のように答えた。

「確かに膨大なプレッシャーだ。トトだけでなく、僕たち全員がだ。ファクトリーのみんなも大きなプレッシャーを感じている」

「詰まる所トトのような代表は、支えるのではなく人々に頼らなくてはいけない。それをどうやってやるかは簡単なことじゃないし、ある時点で人は壊れてしまう。建設的な方法で、それも彼らの意欲をかき立てるやり方でね」

「僕としては、レースで結果を出したり、マシンを走らせたりすることで『あと少しだ』というひらめきがみんなに生まれて、チーム組織全体に浸透していけばいいなと思っている」

 またハミルトンは、メルセデスが過去2シーズンにわたってマシンの方向性を見出すのに苦労してきたことを認めた。

「年の初めには必ずしもゴールを持っていた訳ではなかったし、どこへ向かって努力すべきかを正確に把握していた訳ではいなかった」とハミルトンは言う。

「そしてあるべき場所に到達するために、ジグザグに進んできた。たまにポジティブなことが起こると『よし、これだ』と思う。しかし、それは移り変わる。ゴールポストがいつも動いているというのが常なんだ」

 そして今季、ジェームズ・アリソンがメルセデスのテクニカルディレクターに復帰し、体制やマシンコンセプトが変更されたことで、ハミルトンははるかに勇気づけられたという。

「そうだね、この2年間はなかったようなゴールを手に入れることができたと思う」とハミルトンは言う。

「そこに到達するのは、一筋縄ではいかないんだ。ある決定がなされただけで、道の端で立ち往生している。予算制限とかそういうことのせいで、何でもできる訳じゃない」

「レッドブルを見てみると、彼らは素晴らしい仕事をしている。昨年のバーレーンではバウンドの問題があり、その週に修正した」

「壁を築いているようなものだ。レンガをひとつひとつ積み上げていく。開発、開発、開発の積み重ねだ。ただ何かを追加しても、パフォーマンスは上がらない。まだ建設中だったのだ」

「僕らにとっては、壁を打ち壊す必要があった。昨年のマシンには沢山の空力パーツが装着されていたけど、基本的には1トンのダウンフォースを取り除く必要があった。そして少しずつ追加していった。でも追加するたびに、悪化していった。とても長い間、改善しなかった」

「だから彼ら(レッドブル)が進歩しているのは想像がつくだろう。そして僕らはこんな感じ(平行線)だった。彼らは徐々に改善している」

「そのギャップは……。僕らは全く違う軌道を辿っている。でも僕らは今、マシンのことをよく理解していると思う。ファクトリーで素晴らしいツールを開発してきた」

「だから当然、期待している。でもあまり期待しすぎてはいない」