F1バーレーンGPで14位に終わったRBの角田裕毅は、レース終盤にチームが指示した僚友ダニエル・リカルドとのポジション入れ替えについて「何を考えていたのか分かりません」と語った。

 角田の2024年シーズン開幕戦を振り返ると、彼は予選から好調さを見せて11番手と入賞も望めるポジションから57周の決勝レースを迎えた。

 スタートで角田はひとつポジションを上げ10番手を走行したが、後方のドライバーが10周前後でソフトタイヤからハードタイヤに切り替える中、最初のピットストップを14周まで引っ張ったことでキック・ザウバーの周冠宇とアストンマーティンのランス・ストロールにアンダーカットを許す形となった。

 角田はその後ストロールを攻略したものの、周は抜き切ることができず。ここでも比較的スティントを引っ張ったことで、再びハードタイヤを履いて34周目にピットアウトした時には15番手にまで後退した。その後、他車のピットインの関係で角田は14番手となるも、レース中盤にポジションを争った周はハースの2台を挟んで9秒前方を走行していた。

 角田はその後、決勝スタート時の接触で変則的なタイヤ戦略になっていたハースのニコ・ヒュルケンベルグを39周目にパス。前を行くマグヌッセンにもDRS圏内まで迫っていた。

 しかし最終スティントでソフトタイヤを選択したチームメイトのリカルドが角田とマグヌッセンの2台に接近したことから、RBはタイヤ戦略の異なる2台のポジションを入れ替える決断を下した。

 ただ、その時点で残り周回数はごくわずか。リカルドにもマグヌッセンを攻略するだけのペースはなく、角田は無線で「ありがとう、みんな。感謝しているよ」とチームの判断を皮肉を放った。

 そしてマグヌッセンがポジションを守りきって12位フィニッシュ。リカルドが13位、角田が14位と結果的にRBとしての順位は変わらず、チームとしてその時点で最良の結果を目指すことが求められた状況だったとはいえ、遺恨を残す開幕戦となった。

「彼はポイント圏外にいて、僕はメインストレートでマグヌッセンに並びかけようとしていましたが、残り数周というところでポジション入れ替えとなりました。チームが何を考えていたのか、正直分かりません」

 レース後、角田はそう語り次のように続けた。

「僕はマグヌッセンに仕掛けていたんです。彼もマグヌッセンを抜けませんでしたし、彼らが何を考えていたのか分かりません」

 また角田は、リカルドがマグヌッセンを抜くに十分なスピードが無かった場合は再びポジションを入れ替えると予想していたと明かした。

「ハッキリ言って、彼はそれまでポイント圏外を走っていましたし、これは僕らで話し合ったルールのようなモノです。今後に向けて異なる対応をしていく必要があります」

 今年アルファタウリからRBへと装いを変えたチームは、昨シーズン終盤の好調ぶりやレッドブル・レーシングとの関係強化によって今季の“ダークホース”的存在になるのではないかと囁かれてきた。予選では角田がQ3進出も望めることを証明し、決勝でも一時は入賞圏内を走行した。

 ただ、結果は無得点。昨年も見られたような入賞圏外へと転がり落ちていくレース展開に角田は失望を隠せないようだった。

「本当にガッカリしています。その気持ちが大きいですね」と角田は言う。

「僕のドライビングはかなり良かったと思います。入賞圏内からピットストップをするたびに後方へ下がっていきました。本当に辛いレースでしたが、ここから学び、今後起きないと良いですね」

 そして角田は、14位という結果に終わった原因のひとつとしてストラテジーを挙げ、ドライバーとしても上手く機能させる上で改善点を見つけることができるかもしれないと語った。

「ピットストップよりもストラテジーそのものが問題だと思います。メカニックはいい仕事をしてくれました」と角田は言う。

「ストラテジーが上手くいかない要因のひとつに、僕自身が改善していけることも関係しているかもしれません。僕がタイヤの状況に対応していければ、より正確に調整できますからね」