2024年シーズンの第4戦を終えた時点で、まだ1ポイントも獲得することができていないアルピーヌF1チーム。彼らはフロアのアップデートを急いでいるという。

 アルピーヌは今季、マシンコンセプトの変更が裏目に出て低迷。第4戦日本GPでは今季初のアップデートを実施したが、エステバン・オコンがQ2進出を果たして予選13番手に入るなど、わずかながら進歩を感じさせたものの、決勝ではチームメイトのピエール・ガスリーと接触して2台がダメージを受けたこともあり、共に入賞争いには絡むことができなかった。

 アルピーヌによると、彼らはアップデートパッケージの投入を急いでおり、5月のマイアミGPで投入予定だったアップデートを1戦前倒しすることになったという。

 チームがmotorsport.comに認めたところによると、そのアップグレード箇所はフロアであり、まずは中国GPでオコンのマシンに装着されるという。そして続くマイアミからは2台が新フロアを使うことになるが、今後1台しかアップデートパッケージを試せない場合、今度はガスリーが優先されるようだ。

「前回の日本GPでは、パフォーマンスレベルを向上させることがいかに大きな課題であるかが浮き彫りになった」

 そう語るのは、チーム代表のブルーノ・ファミンだ。

「上位争いをするためには、マシンのパフォーマンスを向上させなければならない。鈴鹿で初めてマシンにアップデートを施すことができたのは良かったが、もっとやらなければならないことがある」

「チームは非常に懸命に取り組んでおり、今週末(中国GP)は予定より1レース早く1台のマシンにアップグレードを施すことができた」

 アルピーヌはアップグレードパッケージを前倒しするという大胆な決断を下したが、中国GPは4シーズンの空白を経て5年ぶりに開催されるレース。サーキットに関する有用なデータは限定的となってしまう。さらに中国GPはスプリントイベントとなるため、各チームは60分のフリー走行1回だけでスプリントを含めた予選・レースに臨まなければならない。

「今のマシンは2019年仕様とはまったく異なるため、準備の仕方は通常とは異なる」とファミンは言う。

「スプリントイベントということもあり、準備する時間が短いため、最初からある程度セッティングを固めることが重要だ。両ドライバーとも、先週はエンストンでシミュレーターに乗り、時間をかけて最高の準備を整えてきた」

 そう語るアルピーヌだが、彼らはスプリントイベントに新しいパーツを持ち込んだことで苦労した経験もある。

 昨年のアゼルバイジャンGPでアルピーヌは、アップデートとは直接関係のないところで信頼性の問題が発生し、FP1の走行機会が限られてしまった。それにより新パッケージのデータがほとんどないまま予選に挑むこととなり、状況が雪だるま式に悪化した。結果的にオコンはスキッドブロックにかなりの摩耗が確認されたことから、パルクフェルメルールを破ってまでセットアップを変更しなければならなくなり、決勝はピットレーンスタートとなった。