先日行なわれたF1マイアミGPで、キック・ザウバーはバルテリ・ボッタスのレースエンジニアを変更した。これはアウディのF1参入計画の一環だったようだ。

 ボッタスが2022年にザウバー(当時のチーム名はアルファロメオ)に加入して以降、アレックス・チャンがレースエンジニアを務めてきた。しかし先日のマイアミGPから、元フェラーリのパフォーマンスエンジニアであるスティーブン・ペトリックが、ボッタスのレースエンジニアを担当することとなった。

 これについてチーム代表のアレッサンドロ・アルンニ・ブラビは、アウディがF1に参入する2026年に向けた体制変更の一環だったと明かした。

「アンドレアス・ザイドル(CEO)は、ある決定を予測するため、そして現在の構造を2026年に導入する最終構造に近付ける変更を開始することを決めた」

 アルンニ・ブラビ代表はそう語った。

「この実装を開始する必要があった。これは、このレースチームの最終的な構造ではない。ヒンウィル(ザウバーの本拠地)も同様だが、アウディF1チームとなる最終的な構造や組織図は存在しないのだ」

「我々は組織変更を開始したかった。そしてザイドルは、すぐにそれを実行することを決めた。経験を積む必要があると考えていることはもちろんだが、同時に他のチームやトップチームのノウハウを持ち、プロセスや分析の開発に協力してくれる人材も連れてくる必要があると考えている」

 アルンニ・ブラビ代表曰く、ペトリックがボッタスの担当エンジニアを務めたのは、日本GP後に鈴鹿で行なわれたピレリ主催のタイヤテストが最初であり、中国GPの後にはボッタスに対し、今後のレース全てでペトリックが担当することが伝えられたという。

 なお来季からキック・ザウバーには、ニコ・ヒュルケンベルグが加入することが決まったが、ボッタスのレースエンジニアが変わったのは、それとは何の関連性もないという。

「新しいエンジニアをどうチームに溶け込ませるかというのは、我々次第という部分もある。そしてもちろん、バルテリとレースエンジニアの良好な仕事上の関係、個人的な関係を築くことも重要だ」

「中国GPの後、我々はバルテリとこの件について話し合った。レースの直後にミーティングを行なったんだ。ペトリックは鈴鹿でのピレリテストで、すでにバルテリのレースエンジニアを務めていたんだ」

「我々はこの変化を予測することにしたんだ。もちろん決断を下す時には、それが良い決断になることも悪い決断になることもある。この決断が正しいモノだったのか、それは時間が経てば分かるだろう」

「しかし、レースエンジニアの交代とニコの加入発表の間には、何の関連性もなかった。それは、レースチームに新しい組織をできるだけ早く立ち上げるという、我々が実行したかった最初のステップにすぎない」