ハースF1は第5戦中国GPでアップデートをマシンに投入。1レース跨ぎ、第7戦エミリア・ロマーニャGPのフリー走行で比較テストを実施するという。

 ハースF1が中国GPで今季マシンVF-24に投入したアップデート箇所は、フロアフェンス、ミラーフェアリング、ルーバー、リヤブレーキダクトなど。スプリントではケビン・マグヌッセンが10位フィニッシュし、本戦ではニコ・ヒュルケンベルグが予選Q3進出で9番グリッドから10位入賞に繋げる活躍を見せた。

 ただスプリントフォーマットでの開催により、中国GPでのフリー走行は1回のみとなった。続く第6戦マイアミGPでもハースF1はフロアに小さなアップデートを投入し、スプリントではヒュルケンベルグが入賞を果たしたが、こちらもイレギュラーなフォーマットでの開催によって、有意義な比較テストは実施できなかった。

 そのためハースF1は、イモラにて通常フォーマットで開催される第7戦エミリア・ロマーニャGPにも新旧パッケージを持ち込み、徹底的な比較テストを実施する予定だ。

「風洞の数字が全てではありません。風洞と比較して、実際のマシンがどのような結果を出すかどうかです」

 チーム代表の小松礼雄は中国GPの木曜日にそう語っていた。

「今年サーキットで記録されたモノは、風洞での予想とも少し異なります。そのため、それを正しく理解する必要があります」

 そして中国GP決勝で1ポイントをもぎ取った後、小松代表はmotorsport.comに対して次のように説明した。

「ここで『アップデートは完璧、100%だった』などと言うつもりはありません。そうは言いませんよ」

「スプリント週末なので、きちんとした比較テストはできません。ただFP1で計測はできます。比較ではなく、何か露骨な問題があるかどうかを見るためです」

「そして、問題は見られません。機能していると考えていますが、100%そうだとは言いません」

「上手くいっていないと証明されるまでは、プロセスを信じるしかありません。今回両方のマシンにアップデートを投入した理由はそこにあります。競争はとても激しいですからね」

「自分たちのプロセスを信じられなければ意味がありませんよね? だから我々はそうしました。今のところ心配するようなところは何もありません」

「しかし通常の週末となるイモラに行けば、ちゃんと比較テストをやります。そこで我々がやったことが正しいかどうかを判断します」

 中国GPからマイアミGP、そしてエミリア・ロマーニャGPと立て続けにアップデートを投入するハースだが、新パーツによるパフォーマンス向上は「ごくわずか」と見ている。

「(新パッケージは)3段階に分けて投入しています。これ(中国GPでのアップデート)は小さなステップと言えるモノです。マイアミはさらに小さなステップで、イモラもまた小さなステップになると思います。段階的なモノなんです」

「0.1秒稼ぐことができたら、予選順位がどれだけ変わるか分かると思います……予選順位ひとつで、最初のスティントを集団の中で走ることになるのか、空いたところで走れるのかが決まります。それが大きな影響を与えるんです」

「ラップタイムでは小さな差に見えたとしても、結果は大きなモノになる可能性があります」

 また小松代表は、イモラでの比較テストが上手くいかなかったとしても、ハースF1が状況を好転させるため、サマーブレイクまでにデータを最大限活用できると語った。

「イモラでは、自分たちがやってきたことが正しいと証明できると良いですね」と小松代表は言う。

「ただ、我々がやってきたことが正しくないと証明された最悪の場合でも、シーズン半ばにはそれを修正するチャンスがあると思います」