レッドブルはエイドリアン・ニューウェイなど人材の流出が続いていると言われる。しかし同チームのクリスチャン・ホーナー代表はこれを否定し、自社製パワーユニットを開発中のレッドブル・パワートレインズにメルセデスから220人のスタッフを引き抜くなど、人材面では逆に強化しているところだと主張している。しかしメルセデスのトト・ウルフ代表は、このホーナーの主張に異議を唱え、レッドブルに人材を引き抜かれたとしても、ホーナー代表が主張する数の1/10に過ぎないと語った。

 ニューウェイの離脱を発端に、人材がドミノ倒しのように流出することになるとの噂が絶えないレッドブル。メルセデスのウルフ代表やマクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOらは、その考えを公言して憚らない。

 しかしホーナー代表は、2026年以降のパワーユニットを開発・製造するレッドブル・パワートレインズが、メルセデスのパワーユニット部門であるメルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズから220人もの人材を獲得したと主張。さらにマクラーレンからもかなりの人材を引き抜いていると示唆した。

「今年我々やRBが、マクラーレンから何人のスタッフを採用したか分からない。メルセデスHPPからは、220人をレッドブル・パワートレインズに採用した」

「人材を失うことについて話す時、私ならひとりやふたりの履歴書のことを言うよりも、220人という数の方が、少し心配になるけどね」

 ただウルフ代表は、この220人という数字に強く異議を唱えており、実際の数は1/10程度に過ぎないと主張した。

「数学をちゃんとやらなきゃいけないね。引き抜かれたエンジニアは19人だ」

 ウルフ代表はエミリア・ロマーニャGPの際にそう語った。

「その数字がどうであれ、自然に変動が生じたり、減ったりすることがある。これはまったく正常なことだ」

 2026年からは、F1に参戦するパワーユニットメーカーが、現在の4社から6社に増えることになっている。前出のレッドブル・パワートレインズに加え、アウディも新たに参入する予定なのだ。そのため、パワーユニット開発に関するエンジニアの引き抜き合戦は過激になりつつある。

 しかしウルフ代表は、今もメルセデスには、最高のパワーユニット部門があると自信を示した。

「我々には、最高のリーダーシップを備えた、最高のパワーユニット部門がある」

 そうウルフ代表は主張する。

「まさに完璧な組織であり、彼らが成果を上げてきたことがよく分かる。彼らは、長いこと成果を出し続けている」

「2014年以降、我々はほとんどの間ベンチマークになってきた。他のエンジンでも、我々がベンチマークだったかもしれない。それは変わっていない」

「2026年になり、各社のパワーユニットのパフォーマンスのレベルを見るのが、本当に待ちきれない」