狭く曲がりくねったモンテカルロ市街地コースでを舞台に争われるF1モナコGP。可能な限りの高ダウンフォース仕様パッケージが要求されるコースだ。

 しかし予算上の制約があるため、すべてのチームがそうした”モナコ専用”のパーツを製造して持ち込むわけではない。多くのチームは、それほど極端なソリューションではなく、中程度から高ダウンフォースのサーキットに対応できるようなソリューションを好む。

 一方でレッドブルは、マクラーレンやフェラーリに対するマージンが少なくなってきていることから、モナコで必要とされる最大ダウンフォースのリヤウイングに投資することを決めたようだ。

 写真が示すように、モナコに持ち込まれた新ウイングのフラップはかなり立っており、メインプレーンはエンドプレートとかなりタイトな曲率で接続されている。フラップ上部の後縁には、大きなガーニーフラップが取り付けられている。

 フラップ中央部には、空気抵抗を少しでも削るために、V字型の切り欠きが追加されている。これまでのウイングと同様、フラップの両脇先端部はメインプレートやエンドプレートと切り離された、セミデタッチ式と呼ばれるモノとなっている。

 今のところ、マシン後部の構成はまだ明確にはなっていないが、リヤウイングを補完するビームウイングも新しいモノが使われることは間違いないだろう。

 ポイントリーダーのマックス・フェルスタッペンは、最近のレースでライバルからのプレッシャーにさらされており、前戦エミリア・ロマーニャGPの予選での差は0.1秒以下だった。決勝レースでは第2スティントでハードタイヤの温度管理に苦労し、マクラーレンのランド・ノリスに追い上げられる結果となった。

 モナコGPの舞台であるモンテカルロ市街地コースは狭く、オーバーテイクが困難なため、予選順位が重視される。そのためレッドブルは、モナコGPで重要なポールポジションを獲得するためにも、わずかな余力も残しておくわけにはいかないと判断したのだろう。