アストンマーティンは今季、開発競争で苦戦しているが、ドライバーのフェルナンド・アロンソは今後に向けて不安視しておらず、チームやオーナーのローレンス・ストロールが他のF1チームよりも「早くに物事を解決できるようになる」と語った。

 アストンマーティンは昨年、序盤8戦でアロンソが6回の表彰台を獲得。最速レッドブルを追う上位チームの仲間入りを果たした。

 しかし上位を争うメルセデス、フェラーリ、そして特にマクラーレンがここ1年で大きな成長を遂げたこともあり、アストンマーティンは開発競争で追従できず。それ以降はコンストラクターズランキング5番手にまで順位を落とした。

 アストンマーティンは、エミリア・ロマーニャGPにアップデートを持ち込んだもののトリッキーなドライビングになる副作用付きと、今年もサーキット上での開発が思うように進んでいないが、シルバーストンの新ファクトリーでは風洞の新設を進めるなど今後へ向けた基盤づくりが続いている。

 アストンマーティンはホンダと提携を結び、新レギュレーションがF1に導入される2026年からパワーユニットのワークス供給を受ける。またレッドブル退団が決まった伝説的なレーシングカーデザイナーのエイドリアン・ニューウェイ獲得に向けて、オーナーのストロールは口頭で打診したと言われている。

 そしてアロンソは、こうしたアストンマーティンの積極的な姿勢が「チームが近い未来、ライバルの開発スピードに匹敵し、それを上回ることができる」という確信に繋がっていると明かした。

 アストンマーティンはF1の開発競争で後れを取らないために適切なツールを全て揃え始めていると確信しているか? とmotorsport.comがアロンソに尋ねると、彼は次のように答えた。

「複雑なスポーツだからね」

「マクラーレンは昨年の第7戦オーストリアGPまで予選Q1を争っていた。彼らは素晴らしいチーム、素晴らしい人材、素晴らしい施設、そして素晴らしいブランドを背負っていて、Q1から抜け出した」

「クルマのどこを活かせるかを見つけて、全てを変えていく。それは僕らも同じだ」

「昨年はシーズン半ばまで、僕らは(他が)見習うべき、コピーすべきチームだった。突然、2歩も3歩も後退することもある。だから今は自分たちに集中し、元の位置に戻る必要がある」

「他のチームと違って、僕らにはローレンスという偉大なリーダーがいる。チームオーナーであるだけではなく、高い闘争心を持つ人物が後ろにいるんだ」

「彼のおかげで、他チームよりも早く物事を解決できるようになると思う」

 アストンマーティンはイモラでのアップデートが、意図した通りに機能しているという感触が得られたとするものの、アロンソとランス・ストロールはマシンのハンドリングに苦戦。アロンソはフリー走行3回目でのクラッシュが予選に響き、結果的にピットレーンスタートを選択することとなった。

 アロンソにとって、イモラでのレースはテストセッションとなったが、マシンの弱点を修正する上では有益だったという。

「トップ5やトップ7を争っていない時は、セットアップやテストの週末に切り替えることもある。9位でフィニッシュしてもね……」とアロンソは言う。

「その週末を諦めて、マシンの問題を解決して次の週末でゼロから始める方が僕は好きだ」

「イモラのFP3から予選、レースではそういうことが起こった。見ての通り、問題解決を多少進めることができたかもしれないから、良い面もあるんだ」