スペイン・バルセロナでMotoGP第6戦カタルニアGPのスプリントレースが行なわれた。優勝したのはアプリリアのアレイシ・エスパルガロだった。

 2日目の午前中に行なわれたカタルニアGPの予選では、エスパルガロがレコードタイムを更新する速さを見せてポールポジションを獲得。今シーズン限りでの引退を表明した直後となるが、地元戦でポールを獲得し、レースでも好結果を残すことが期待された。

 2番手にはフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)、3番手にはラウル・フェルナンデス(トラックハウス)が並んだ。ポイントリーダーのホルヘ・マルティン(プラマック)は7番手、ランキング3番手のマルク・マルケス(グレシーニ)はQ1敗退で14番手スタートとなった。

 全12周で争われるスプリントレースが始まると、バニャイヤが良好な加速を見せ、ホールショットを奪取。5番グリッドスタートのペドロ・アコスタ(GASGAS)が続き、エスパルガロは5番手までポジションを下げてしまった。

 2周目にはアコスタがターン1でバニャイヤをインから追い抜いていき先頭に立つ場面もあったが、バニャイヤも現王者として簡単にルーキーには前を譲らず、ターン5でトップを奪い返した。

 3周目もターン1で全く同じようなアクションが繰り返されてアコスタが再び先頭に。ただターン5で今度はフェルナンデスが少し強引にこじ開けてオーバーテイクを仕掛けた。そこでアコスタはマシンを引き起こして回避せざるを得ず、ポジションを下げた。

 トップに立ったフェルナンデスは2番手以下に対する差を少しずつ広げていき、1秒近いギャップを築こうとしていた。しかしフェルナンデスは5周目にターン10で転倒……スプリントレースで初勝利を果たす千載一遇のチャンスを失ってしまった。

 これでトップ争いは振り出しに戻ったが、今度はビンダーがアコスタをホームストレートからターン1にかけて追い抜いていった。アコスタはマシンの挙動が安定しない場面も見られるようになっていて、3番手バニャイヤからも迫られるようになり、オーバーテイクを許した。

 レース折り返しを過ぎた7周目、今度はターン5でビンダーが転倒。トップに立ったライダーが続けて転倒によって勝利を失うという展開が繰り返される状況だった。

 トップ集団はバニャイヤを先頭にアコスタ、エスパルガロそして徐々にポジションを上げてきたマルク・マルケス、マルティンの5人。その中でもアコスタが厳しいようで、8周目にはエスパルガロを抑えきれず3番手へ下がった。

 バニャイヤとエスパルガロのギャップはコンマ5秒差ほどから縮まらない一方、3番手のアコスタはマルケスからもプレッシャーをかけられる状態が続いた。

 マルケスはラストラップのターン1でブレーキング勝負を挑み、ここでオーバーテイク。3番手へ浮上した。

 そしてラストラップにはドラマが待っていた。先頭を走り、2番手にも1秒近い差を付けていたバニャイヤが、ターン5でまさかの転倒を喫してしまったのだ。この日のスプリントで先頭に立ったライダーとして3人目の転倒ということで、何らかのジンクスを感じさせるものだった。

 これで先頭に立ったのは、エスパルガロだった。彼は転倒せずにチェッカーを受け、引退を表明したカタルニアGPでスプリントレースをポール・トゥ・ウィン。非常にエモーショナルな結果になったと言えそうだ。

 そしてオープニングラップに接触でフロントウイングを片方失った状態にもかかわらず、前戦フランスGPと同じように中団グリッドから驚異的な追い上げを見せたマルケスが2位。3位はアコスタで、地元スペイン勢が表彰台を独占する結果となった。

 日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は13位でフィニッシュ。アップデートを投入したヤマハ勢は、ファビオ・クアルタラロが10位、アレックス・リンスが12位となった。