アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)は現在のMotoGPマシンがライダーにとってあまりにも肉体的な負荷が高くなりつつあると警鐘を鳴らしている。

 エスパルガロは先日行なわれた第7戦イタリアGPで11位となったが、バイクのセットアップがベストではなかったという。そしてレースでは今のMotoGPマシンの発達したエアロダイナミクスによる影響を感じており、肉体的にはリタイア寸前にまで追い詰められていたと振り返った。

 イタリアGP終了後、フィジカルの状況について聞かれたエスパルガロは「最悪だ」と答えた。

「あと1周多かったら、僕はリタイアしなくちゃならなかっただろうね。信じられないよ。このバイクはとても、とてもアグレッシブで、すごく神経質なんだ」

「加速もブレーキもできなかった。最後の8〜10周はブレーキングも1本指でしていたんだ」

「もちろんムジェロで僕らはベストなセッティングができていなかった。でも僕らみんなが大体は似たような状態だったと思っている」

「つまりMotoGPクラスでは一般的に発生させているダウンフォースが、人間の身体にはあまりにも過大になっているということだよ。本当に大きすぎる」

 イタリアGPで身体的な問題に直面したライダーはエスパルガロだけではない。ヤマハのファビオ・クアルタラロとアレックス・リンスも、腕上がりの症状で不満を示していた。

 MotoGPマシンのエアロダイナミクスは2015年にドゥカティがウイングレットをマシンに搭載して以来、その重要性を増してきた。2017年には規制が強まったが、それでもエアロダイナミクス開発の重要度は高いままであり、今シーズンも開発競争が繰り広げられている。

 なお2027年に導入予定の新レギュレーションでは、レースのスペクタクル面への悪影響を減らすことを目指し、さらにエアロダイナミクスへの規制が強まる予定だ。

 エアロダイナミクス黎明期である2015年のムジェロ・サーキットでのファステストラップは1分46秒489で、レースタイムは41分39秒173だった。

 一方、2024年は1分44秒504がファステストラップとなり、レースタイムは40分1秒385と大きく短縮されている。タイヤやその他の進歩もあるものの、エアロダイナミクスの進歩の影響は明らかだろう。