ヴィアレッジョからラポラーノ・テルメまで180kmの未舗装路を含む丘陵ステージ、オフィシャルスタートが切られるとアンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト)がファーストアタック、戦いの狼煙を上げた。激しいアタックの撃ち合いは延々と続きレース開始から1時間の平均時速51.9km/h、脚が緩む気配はまったくなく、サイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック)、アレッサンドロ・デマルキ(ジェイコ・アルウラー)、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)など有力選手たちが幾度となく抜け出しては集団に飲み込まれていった。

平坦部分を終え残り距離102km、4級山岳山頂手前で少し前に出たフィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)に追いつく形で、アラフィリップとオレリアン・パレパントル(デカトロン・AG2Rラモンディアル)の3人でこの日はじめての先頭グループを形成された、山岳ポイントはフィオレッリが先頭通過。スプリントポイントを獲りたいカーデン・グローブスがエドワルト・プランカールト(ともにアルペシン・ドゥクーニンク)を連れ追走し、下りで先頭3人に追いつく。グローブスがペースを上げ、アラフィリップとペラヨ・サンチェス(モビスター)がついていく。ルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー)、マッテオ・トレンティン(チューダープロサイクリングチーム)、マルティン・マルチェルージ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が追いつき6人で先を目指す、中間スプリントポイントはグローブス。

うねる道を軽快にこなしアンドレア・ヴェンドラーメ(デカトロン・AG2Rラモンディアル)が追いついた先頭7人はメイン集団に3分11秒のタイム差をつけてグラベルセクションに突入。総合21位(2分33秒遅れ)につけるプラップはマリア・ローザを狙えるチャンスが出はじめている。グラベルセクションの4級山岳でグローブスは遅れ始め、プラップ、アラフィリップ、サンチェスの3人が先行する。4級山岳はアラフィリップ、インテルジロはプラップ、第2中間スプリントポイントアラフィリップが先頭通過。メイン集団はイネオス・グレナディアーズの牽引に代わりタイム差を1分半まで詰めていた。

先頭3人は苦しみながらも協力し合い、時々力尽きそうにもなりながら残り距離10kmで集団とのタイム差は1分3秒、ラスト5kmの急坂でも誰も諦めることなくペダルを踏み続け、フラムルージュ。3人での牽制が入りながらプラップが先行、アラフィリップが番手、最後尾サンチェスでゴール前へ。ラスト150mでスプリントを開始したアラフィリップに対しサンチェスが追い抜き、みごと先頭でフィニッシュラインを越えた。総合勢は29秒後に集団フィニッシュ、マリア・ローザの変動はなかった。

「グランツールに出るのが夢だった、去年ブルゴスBHでブエルタに出場できて今は初めてのジロ・デ・イタリア、ここでステージ優勝するなんて本当にクレイジーだ」サンチェス、ステージ勝利後インタビュー

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【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第6ステージ|Cycle*2024

ステージ順位
1 ペラヨ・サンチェス(スペイン/モビスター)in 04h 01' 08''
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス/スーダル・クイックステップ),,
3 ルーク・プラップ(オーストラリア/ジェイコ・アルウラー)+ 00' 01''
4 アンドレア・ピッコロ(イタリア/EFエデュケーション・イージーポスト)+ 00' 24''
5 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)+ 00' 29''
6 ルカ・メズゲッツ(スロベニア/ジェイコ・アルウラー),,
7 クインテン・ヘルマンス(ベルギー/アルペシン・ドゥクーニンク),,
8 ニック・シュルツ(オーストラリア/イスラエル・プレミアテック),,
9 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ),,
10 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン/アスタナカザクスタン),,

個人総合順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 23h 20' 52''
2 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 00' 46''
3 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)+ 00' 47''
4 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)+ 00' 55''
5 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター)+ 00' 56''
6 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア/アスタナカザクスタン)+ 01' 07''
7 フアン・ロペス(スペイン/リドル・トレック)+ 01' 11''
8 ヤン・ヒルト(チェコ/スーダル・クイックステップ)+ 01' 13''
9 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン/アスタナカザクスタン)+ 01' 26''
10 エステバン・チャベス(コロンビア/EFエデュケーション・イージーポスト),,

ポイント賞
1 ジョナサン・ミラン(イタリア/リドル・トレック)134 Pts
2 カーデン・グローブス(オーストラリア/アルペシン・ドゥクーニンク)97 Pts
3 ティム・メルリール(ベルギー/スーダル・クイックステップ)89 Pts

山岳賞
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)51 Pts
2 リリアン・カルメジャーヌ(フランス/アンテルマルシェ・ワンティ)32 Pts
3 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)26 Pts

ヤングライダー賞
1 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)in 23h 21' 47''
2 アレックス・ボーダン(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 00' 45''
3 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー/スーダル・クイックステップ)+ 00' 49''

チーム総合順位
1 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)in 70h 07' 38''
2 アスタナカザクスタン(カザフスタン)+ 00' 14''
3 デカトロン・AG2Rラモンディアル(フランス)+ 01' 04''

リタイア
106 ナダフ・ライスベルク(イスラエル/イスラエル・プレミアテック)
101 マイケル・ウッズ(カナダ/イスラエル・プレミアテック)
45 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ)
105 ライリー・ピックレル(カナダ/イスラエル・プレミアテック)

5月10日(金) 第7ステージ
フォリンニョ > ペルージャ
40.6 km(個人タイムトライアル ★★★★☆/獲得標高 400 m)
8年ぶりの40kmを超える長距離TT

オロパの山頂フィニッシュとストラーデ・ビアンケの白い道で、すでにマリア・ローザ候補者間に順列が付き始めているに違いない。今大会1回目の個人タイムトライアルの終わりには、さらに明確なヒエラルキーが築き上げられる。最終日のローマでマリア・ローザを着ていたいと願うなら、ペルージャでの失敗は絶対に許されない。

昨大会は3度の個人TTが組み込まれたが、2024年大会はこの日を含めて2ステージのみ。ただし1回で距離が40kmを超える長距離TTは、2016年以来7年ぶりで、今ステージは2つのまったくタイプが異なる地形が組み合わされている。

フォリーニョからの序盤34kmは、いわゆるスペシャリスト向き。平坦で、道幅は広く、コースは長い直線といくつかの直角の組み合わせ。大きなギアでハイスピードに乗りつつ、高いコーナリング技術が求められる。

そこから先は、フィニッシュまで続く上り坂。中世の面影を残すペルージャ旧市街へと誘う道は、狭く曲がりくねり、石畳さえ顔を出す。全長6.6kmの平均勾配は4.2%ながら、時に勾配は大きく緩み、時には激しく険しさを増す。例えば上り始めた途端に最大勾配16%にぶち当たり、1.3kmにわたって平均11.8%の「壁」が続くのだ!

もちろん注目は、TTバイクからノーマルバイクへ大急ぎで飛び移るか否か。近年のグランツールはなにやら「登坂」TT流行りだが、たとえば昨ジロ第20ステージでは勝者プリモシュ・ログリッチはバイク交換を選び、あの日の終わりに総合首位から陥落したゲラント・トーマスは、ヘルメットさえ交換した。一方で昨ツール第16ステージのヨナス・ヴィンゲゴーはスタートからフィニッシュまで同じ自転車を貫き、異次元の好タイムを叩き出している。

前日第6ステージ総合順位の降順(最下位→首位)で、選手たちは1人ずつコースへと走り出していく。開催委員会の計算によれば50分弱の全力疾走で、18.6km地点と34km地点に計測ポイントが設けられる。

ステージ詳細テキスト:宮本あさか