秋も深まり、そろそろ冬の気配もする今日この頃だ。目を楽しませてくれた紅葉も、今や落ち葉となって庭や道端に降り積もっている。

そして今度は、この時期ならではの「落ち葉アート」がSNS上などで披露されている。

たとえば2022年11月28日、とあるお寺のツイッターアカウントが投稿したのは、非常に愛らしい写真だ。

妙心寺壽聖院のツイートより

そこには、落ち葉を集めて、巨大な「肉球」が描かれている。その様子を、猫ちゃんが怪訝そうに見ている。なんともユーモラスな光景である。

このツイートを投稿したのは、京都市右京区にある妙心寺壽聖院(じゅしょういん)のアカウント(@jusyoin)。写真右奥にも見えるが、石田三成一族の菩提所だという、由緒ある寺院だ。

京都の古刹の住職さんが、この愛らしい「落ち葉肉球」を作ったのだろうか?

Jタウンネット記者は、妙心寺壽聖院に電話で聞いてみた。

ちゅーるを捧げて「お願い」

Jタウンネット記者の取材に応えてくれたのは、妙心寺壽聖院の住職・西田英哲さんだった。

「境内の落ち葉があまりに多かったので、掃除をしておりましたところ、そういえば『#落ち葉アート』というのが流行しているな、とふと思い出しまして、ちょっと思いつきで肉球を作ってみようかと......。うちの寺の看板猫である『彼岸』ちゃんにあやかってみたわけです」(西田英哲住職)

落ち葉をはき集めて、形を整えること、約30分。とっさに思いついて、ササッとこしらえたアドリブ作品だった。

看板猫の彼岸ちゃん(妙心寺壽聖院のツイートより)

もちろん、その肉球の先にいるのが「彼岸ちゃん」。絶妙すぎるコラボに、ツイッター上では3000件を超えるいいねが寄せられている。

ちなみにツイートによると、彼岸ちゃんにはちゅーるを捧げてお願いし、来てもらったそうだ。

彼岸ちゃんが「看板猫」になるまで...感動の物語

ところで、彼岸ちゃんが妙心寺の看板猫となるまでには、涙と感動のストーリーがあった。

西田さんと彼岸ちゃんとの出会いは、7年前の秋のお彼岸の中日、九州・大分県の修行道場でのことだった。

親猫とはぐれて痩せ細り、怪我した足を引き摺りながら迷い込んで来たところを、修行僧の西田さんが保護した。西田さんが大分の修行道場から京都に帰るとき、彼岸ちゃんは一緒に帰ることになったという。

住職と彼岸ちゃん(妙心寺壽聖院のツイートより)

大分から京都へ移ったが、右後ろ足の怪我は良くならなかった。

「保護時から変わらず地面を擦る。毎日包帯を代えても出血し化膿を繰り返し、複数の動物病院で切断を勧められるが、唯一『難しいですが、何とかやってみましょう』と言ってくださる先生と出会う」
「手術後付きっきりで見ることができないと相談すると、『これも何かの縁なので私が預かります。お金はいりません。』と1ヶ月半先生に面倒を見てもらう」(妙心寺壽聖院のツイートより)

結果、手術は大成功した。今では、天気の良い日はリードをつけて外に出してもらい、日向ぼっこ。サービス精神旺盛で、檀家さんにかわいいと褒められるそうだ。

彼岸ちゃんは石田正継・三成親子を「尊敬」(妙心寺壽聖院のツイートより)

ちなみに、妙心寺壽聖院は、戦国時代の武将・石田三成が、その父・正継公の菩提寺として創建した寺。

12月1日から、同寺所蔵の重要文化財・石田正継の肖像画修復のためのクラウドファンディングも開始される(返礼品は石田三成公グッズ)。歴史ファンには、こちらの方も見逃せないかもしれない。