2024年5月21日、屋根に富士山がのっかって見えることで人気のローソン河口湖駅前店(山梨県富士河口湖町)近くの撮影スポットに、黒い幕が設置された。

13日に町が出した「お知らせ」によると、このスポットには多くの観光客が集まり、地域問題に発展していた。車道にはみ出して撮影したり、横断歩道以外を横断したりといった危険な行為や、周辺の私有地への立ち入り・ごみのポイ捨て・無断駐車といった迷惑行為が頻発していたのだ。

安全対策として、高さ2.5メートル、長さ20メートルの幕の遮光ネットを張る、と発表したのもこの時だ。

そんなオーバーツーリズムの問題が取りざたされる中、近隣住民に迷惑をかけずに「富士山&ローソン」のツーショットを撮影できる方法を編み出した人が、X上で注目を集めている。

絶景だ!(画像は現代美術二等兵ふじわらかつひと@f2touheyさんの投稿より、以下同)

こちらは、現代美術家・ふじわらかつひと(@f2touhey)さんが、2024年5月19日に投稿した写真。

河口湖のローソンとはまた違うようだが、他にもこんな店舗があったのか! ......と思いきや。

あれ!?

そう。実はこのローソン、精巧に作られたミニチュアだったのだ! たしかに、これなら富士山が見える場所であればどこでも簡単にツーショットをゲットできるだろう。

Jタウンネット記者は20日、この素敵なアイデアを思い付いた経緯について、ふじわらさんに話を聞いた。

「モヤモヤしていました」

「近隣の方々に迷惑をかけないように
持ち運べるローソンを作りました。
これで富士山さえ見えれば、
どこででも『富士山&ローソン』の写真が撮れます」

投稿でそう呟いたふじわらさんは、アートユニット「現代美術二等兵」のメンバー。制作費や完成度にこだわらず誰もが肩の力を抜いて楽しめる美術作品「駄美術」の制作を手掛けている。

投稿のミニチュアローソンは、鉄道模型用の建物を使って2日かけて制作したものだと記者の取材に語った。

「ドアに貼られている垂れ幕やポスターは、近所のローソンを参考にしました。また、そのままだと店内が暗いので看板と店内を照らすLEDを入れました。ただ、屋外で撮ると店内はあまり明るくないですね」(ふじわらさん)
LEDライトも付いている

鉄道模型用の商品には「ローソン」そのものもあったそうだが、富士山を背景としている実店舗の形状とは少し違っていた。そのため、より形状が近い「セブンイレブン」の模型を改造してローソンにしたという。

制作のきっかけはやはり、「富士山ローソン」に関するオーバーツーリズムの問題や黒い幕で覆うというニュースを目にしたことだった。

「モヤモヤしていました。そもそもなんでそんな写真が撮りたいのかもわかりませんでした。なので、ちょっと茶化した解決法を考えました」(ふじわらさん)

意外な方法で「富士山ローソン」の問題に切り込んだ作品に、X上ではこんな声が寄せられている。

「ナイスアイデアですね!」
「これなら誰にも迷惑かからないでいいやつ!」
「これならバックを富士山にしなくてもナイスな写真が撮れそうですね!」

その後、ふじわらさんは完成させた作品を手に河口湖を回って色々な場所で撮影したそうで、「やっぱり富士山はカッコイイですね」と感想を述べた。

ただ、撮影当日は生憎の雨模様だったため、晴れた日に再挑戦をしたいとのことだ。