国立感染症研究所によると、第35週(8/30〜9/5)の手足口病の報告数が、前の週(8/23〜8/29)に比べて増加しています。熊本県では、3週連続で定点当たり報告数が一番多く、宮崎県や鹿児島県でも同様に感染報告が増えてきており、九州地方に手足口病の流行が広がってきているとみられます。

手足口病とはどんな病気?

 手足口病は「夏風邪」と呼ばれ、例年、5歳以下の子どもを中心として、夏場に流行する病気です。感染すると3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はありません。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。しかし、まれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症などが起こる場合があります。

 感染症の専門医で、大阪でコロナ感染者の治療にあたる、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に、今後の流行についてお話を伺いました。

季節外れの流行に要注意

 (安井医師)手足口病はここ2年間の全国的な流行はありませんでした。例年、手足口病の流行は7月下旬にピークを迎えることが多いですが、8月下旬より報告数が増え始めており、今年の季節外れの流行の理由については、まだ分かっていません。通常、九州地方で報告数の増加がみられた場合、西日本を中心に流行する傾向がみられます。しかし今年は、熊本県の定点当たりの報告数が増えているものの、岩手県でも報告数が増えていることから、地域でも感染者数にばらつきがみられます。関西地方でも感染者数が増えてきており、次週も報告数の増加が予想されることから、全国的にも広がるおそれがあります。

 手足口病の流行と合わせ、同じウイルス属であるエンテロウイルスによるヘルパンギーナの感染報告も増えていることから、どちらも季節外れの流行に注意が必要です。

 「感染症・予防接種ナビ」にも手足口病の経験談が寄せられました。

福岡県 名無しの豚さん(22歳)

 夏の炎天下の中を歩いてたから、暑くてフラフラしてたと思ってたんですが、やけに息苦しくて立つのもしんどく、布団も敷かずに畳に横になりながら熱を測ったら久々の発熱。汗が出ない体質だから余計にしんどくて、動くこともままならなかったですね。そのあと少し熱は引いたけど、手足に赤い湿疹と喉が腫れて、病院に。そしたら手足口病でした。水を飲み込むのも辛くて、唯一ゼリーだけ食べられました。でも柑橘類のゼリーはダメでした。そのあと薬を飲みながら療養して完治しました。

成人が感染すると高熱が出る場合も

 子どもがかかりやすい病気の一つではありますが、高熱を出すことはほとんどなく、基本的には経過観察を含め、症状に応じた治療となります。

 しかし、成人が感染すると高熱が続き、湿疹による喉の痛みや腫れといった症状が数日間続き、食事をしづらくなり、体力が低下する場合もあるようです。また、手足口病は有効なワクチンや、発病を予防する薬もないことから、日ごろの感染対策が重要です。

 厚生労働省が推奨する感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理することです。特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員とこども達が、しっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。

 手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません。

 手足口病は、治った後も比較的長い期間便の中にウイルスが排泄されますし、また、感染しても発病しないままウイルスを排泄している場合もあると考えられることから、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。

◇感染症予防接種ナビでは、手足口病に感染した方からの経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「手足口病に関するQ&A」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏